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「抜き打ち検査は本当にランダム」高梨沙羅も苦しんだ“規定違反”に金メダリスト・船木和喜の意見…「情報伝達が遅い」日本スキージャンプ界の問題点
posted2025/03/04 11:03

今も現役を続ける五輪金メダリスト・船木和喜(49歳)が考える、スキージャンプ界のルール改正
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Wataru Sato
1998年の長野五輪で2つの金メダルを獲得したスキージャンパー・船木和喜。今も現役選手として競技を続ける船木が明かす、スキージャンプ界のルール改正による“規定違反”問題への本音とは。《NumberWebインタビュー全4回の第3回/最終回に続く》
さまざまなルール改正が行われ、その余波も受けつつ、ノルディックスキー・ジャンパー船木和喜は競技と向き合ってきた。
「いろいろなことを考えて、ある程度縮まっていって、横に並びそうなときにまたルールが変わるんですよ。その繰り返しですね」
と振り返る。ルール改正については、ときに日本を狙っている、という趣旨の言葉が今日まで飛び交う。
「日本は現場でルール変更に対応することもあった」
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船木は当事者として、ルール改正の多さがなぜ日本の不利になるのか、その理由をあげた。
情報の入手の問題だ。
「ルールが変わった瞬間に変えるようじゃ遅いんですね。海外の選手はもう半年くらい前から、変更するルールに合わせた道具で練習をしているので、いざ試合になって『はい、スタート』というときには差がありすぎるんです」
つまり日本には、情報が伝わるのが遅いのだという。
「だから日本チームは、現場でルール変更に対応することもありました。僕が海外遠征に行かなくなってからも、『現地に入ってルールが変わってました』という話は結構聞きましたね」