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「一番の後悔は…」高梨沙羅が成績不振のウラで、じつは行われていた“ルール改正”…それでもミラノ五輪代表争いは「高梨が中心」と言える理由
posted2025/03/29 11:11

高梨沙羅は今季、自身初の表彰台ゼロでシーズンを終えた
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
ノルディックスキー・ジャンプ女子は3月21日にワールドカップの最終戦が行われた。高梨沙羅はこの試合で8位の成績を残した。
今シーズンの最高順位は4位。ワールドカップがスタートした2011-2012シーズン以来、初めて全戦を通じて表彰台に上がることなく終えることとなった。また個人総合でも12位、2022-2023シーズンの10位以来2度目の2桁順位となり、世界選手権ではノーマルヒル14位、ラージヒル12位にとどまった。
今シーズンの成績が伸びなかった理由は、本人が開幕前に「テレマーク姿勢が入らないと勝負にならないです」と大きなテーマとしてあげていたように、テレマークにある。
じつは“改正されていた”テレマークのルール
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もともと高梨はテレマークを課題としてきた。ワールドカップの女子がスタートして早々、高梨はトップジャンパーとして活躍を始めたが、当時ライバルとされ競い合っていたサラ・ヘンドリクソンとの差も「テレマークにある」と語っていたように、苦手意識があった。
理由としては、高梨の飛距離が女子の中では抜きん出ていて、K点付近あるいは越えていくためテレマークの姿勢が入れにくいと言われていた。それでも距離で上回ることで勝つことが可能だった。
だが昨春にルールが改正され、テレマークが厳格化。決まらなかったときの減点幅が飛型審判員1人あたり最大2点から3点に広がった。結果、テレマークを得意とする選手と苦手な選手との差が開くことになった。
4位となり、表彰台に最も近かった昨年12月の中国・張家口での試合でもテレマークの影響がうかがえた。
高梨は199.5点。内訳は距離が123.0、飛型点96.5、ウインドファクターが-20.0。
3位のリザ・エダーは200.6点。内訳は距離119.0 飛型点101.0、ウインドファクター-19.4。
1本目の場合、高梨は98mを飛んだが、飛型点は46.0、エダーは90mで飛型点49.0。僅差の勝負の中、距離で上回りつつも飛型点が明暗を分けた一例だ。