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「“大谷様”と呼ばないとアカン。あの時はすいませんでした(笑)」ロッテ・田村龍弘が初めて明かす“メル友”だった花巻東・大谷翔平のこと 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2024/06/20 11:04

「“大谷様”と呼ばないとアカン。あの時はすいませんでした(笑)」ロッテ・田村龍弘が初めて明かす“メル友”だった花巻東・大谷翔平のこと<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

2017年のオールスターに選出された大谷と田村。ロッカーで仲睦まじい姿を見せた

 高校時代、捕手・田村、打者・大谷としての間接的な対戦は何度かあったが、投手・大谷と対峙したのは1打席だけだった。3年生の時、光星学院のグラウンドで行った練習試合での対戦だ。結果はライトへの犠牲フライ。その思い出も鮮やかに記憶に残っている。

「どんどん違う次元に」

 高校を卒業後、大谷はドラフト1位でファイターズへ、田村はドラフト3位でマリーンズに入団する。

「高校の時は同い年だし、同じ東北で練習試合も定期的に行っていたから交流もあって、ある程度は近い存在でした。プロに入った最初の頃も、同じタイミングで一軍の試合に出たこともあって、なんとか負けないように頑張ろうと思っていた。ただ、プロに入って少し経つと、大谷はどんどん違う次元にいったので、その時ぐらいから同い年としてというより、プロ野球選手としてヤバいなあ、と思うようになりました。知らぬ間に単に“スゲえなあ”では済まされない存在になってしまった」

 試合で対戦すると、ファイターズの練習時間には大谷のバッティングにくぎ付けになっていた。

「ああ、大谷が打っているからちょっと見てみようって。やっぱりスゲえなあ、とその姿を見るのが楽しみな存在になっていました。高校時代は一切、そんな風に見ていなかったのに、気がついたら、そんな存在になっていた」

今やスーパースター

 プロの舞台で「投手・大谷」との対戦は通算5試合。プロ3年目の2015年は6打数無安打だったが16年には5打数2安打を記録している。17年に第2戦をZOZOマリンスタジアムで行われたオールスターゲームではパ・リーグ代表としてチームメートとなり、ロッカーやベンチで久々に話し込むなど“同い年”としての時間を楽しんだ。今、振り返るとじっくりと話をしたのは、それが最後。大谷は翌年、次なる夢を求め、アメリカに渡った。

 大谷とはずっと、グラウンドで顔を合わせると必ず冗談を言い合う仲だった。お互いが冗談で「黙れや」とか「なんやねん、オマエ」などと言いながらじゃれ合ったこともある。その彼が今やメジャーリーグのスーパースター。日本で知らない人はいないビッグネームだ。

「今、思うとそんなことを言っていたのが恐ろしい。『大谷様』と呼ばないとアカン。あの時はすいませんでした、って。ある意味、凄い事かなあとは思うけど」

「大谷世代」としての誇り

 時間が経ち、舞台は移り、遠い存在になってしまったことに寂しさを感じながらも、同じ時代に白球を追いかけたことを誇らしくも思っている。

【次ページ】 高卒入団はNPBで“最後の一人”

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