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U-23アジア王者・日本に英国人記者が“警鐘”「厄介なライバルになりうる」韓国撃破インドネシア、トルシエ解任ベトナムも…ASEAN躍進の背景
text by
マイケル・チャーチMichael Church
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2024/05/04 17:04
2024年1月のアジア杯、日本vsインドネシア。久保建英とデュエルするジャスティン・ハブナーはセレッソ大阪所属でオランダにルーツを持つ1人だ
「選手の能力は高く、監督は各世代を総指揮している。進境の著しい東南アジアを代表する存在だ。彼らの急成長は偶然ではない。練り上げられたプランと戦略のもと、ここ(準決勝)に辿り着いたのだ」
オーストラリアや韓国が欧州でプレーする選手の招集に苦しんだことを差し引いても、インドネシアの躍進はおそらくフロックではない。またアジア全体のレベルが底上げされていることも、ひしひしと感じる。
ベトナムのように戦後に生まれた団塊の世代が国の中心となり、経済的な成長とともに代表チームを強化しているところもあるが、きっと最大のモチベーションはW杯への門戸が広がったことにあるはずだ。
トルシエから聞いた「モチベーションの源泉」
昨年、ベトナムの代表監督に就任したばかりのフィリップ・トルシエ──2018年から様々な形でベトナムの強化や育成に携わっている指導者だ──を、筆者はインタビューする機会に恵まれた。かつて日本代表を率いたフランス人指揮官は、次のように話した。
「W杯の参加国の増加は、大きなインパクトを与えている。とりわけ、これまでに可能性を感じられなかった代表チームにとっては、とてつもなく大きな意味を持つ。希望がなければ、環境を整えたり、外国から指導者を雇ったり、育成の改革に着手したりしないだろう。私たち(ベトナム)には今、希望がある。そして我々は夢を持たなければならない」
トルシエはその後、アジアカップの失敗の責任を取る形でベトナムを離れたが、彼の指摘は的を射ている。
元からの強豪にとって、W杯出場国の増加は歓迎すべきものではないかもしれない。だが長年にわたって本大会を外から眺めることしかできなかった地域、そう、東南アジアの代表チームにとっては、大きなモチベーションの源泉となっているのだ。
いよいよ本腰を入れて強化を図るASEAN諸国は近い将来、日本などアジアの列強国にとって、厄介なライバルになりうる。