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U-23アジア王者・日本に英国人記者が“警鐘”「厄介なライバルになりうる」韓国撃破インドネシア、トルシエ解任ベトナムも…ASEAN躍進の背景
text by
マイケル・チャーチMichael Church
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2024/05/04 17:04
2024年1月のアジア杯、日本vsインドネシア。久保建英とデュエルするジャスティン・ハブナーはセレッソ大阪所属でオランダにルーツを持つ1人だ
最大のポイントのひとつは、旧宗主国のオランダに散らばるインドネシアにルーツを持つ選手を、いかに勧誘していくのか。30年前に筆者が初めて現地を訪れた時から、インドネシアの多くのフットボール関係者は、その話題を熱弁していた。
実はオランダ領東インド(インドネシアがオランダの植民地だった頃の呼称)は、1938年にフランスで開催された第3回W杯に、アジア勢として初出場している。1956年のメルボルン五輪にも出場したが、以後は政治的な混乱もあって国内リーグも代表チームも機能しなくなり、いつしか2度目のW杯出場は儚い夢と捉えられるようになってしまった。
韓国人シン・テヨン監督を迎えて以降の進化とは
だが2020年に韓国人のシン・テヨンを監督に迎えてから、潮目が変わった。
現役時代は中盤を司り、代表監督としては母国を率いて2018年W杯に参戦した指揮官は、A代表だけでなく、U-23代表とU-20代表の監督も兼任。包括的に指導と育成の実権を握ると、インドネシア人選手に欠けていた規律を植え付け、身体能力の向上に着手した。
さらに2023年には、インテル・ミラノの元オーナーであるエリック・トヒルがインドネシア・サッカー協会の会長に就任。インドネシア有数のコングロマリット、マハカ・グループの総裁で、同国政府の大臣も務めるビジネスマンはフットボールを愛し、母国の代表を強化すべく、懸案だったオランダ出身のタレントの勧誘も推進していった。
FWラファエル・ストライク(ADOデンハーグ)、MFイバル・イェナー(FCユトレヒト)、MFネイサン・チュアオン(ヘーレンフェーン)、DFジャスティン・ハブナー(セレッソ大阪)らオランダ生まれの選手が次々に加わり、マルセリーノ・フェルディナンやプラタマ・アルハンら国内出身組と融合していった。
イラク監督「彼らは練り上げられたプランと戦略が」
その大きな成果が見られたのが、先のU-23アジアカップだ。
本大会初出場にも関わらず、オーストラリア、ヨルダン、そして韓国を下して、いきなり4強に進出したのだ。3位決定戦でイラクに1-2と惜敗したが、次の大陸間プレーオフでギニアに勝てば、68年ぶりの五輪本大会に出場できる。
「インドネシア代表は大きな敬意を払われて然るべきチームだ」とU-23イラク代表のラドヒ・シュネイシ監督は話し、このようにも続ける。