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“細谷真大へ飛び蹴りGK”にトルシエ「VARでレッドは厳しすぎるが…」高評価する“U-23日本代表の5人”「とりわけ藤田譲瑠チマだ」
posted2024/04/28 17:02
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
JIJI PRESS
アジアの出場枠が3.5のパリ五輪出場権を懸けたU23アジアカップ。ベスト4に進めば準決勝、3位決定戦、ギニアとの大陸間プレーオフのいずれかひとつに勝てば五輪への切符を獲得できる。もちろんプレッシャーはあるが、3回あるチャンスのひとつをモノにするのは確率の問題としてはそう難しいわけではない。
最も難しく、重圧がかかるのがそのひとつ前の戦い――ベスト4行きを決める準々決勝であるといえる。実際、サウジアラビアもウズベキスタンもイラクも、のしかかるプレッシャーで持てる力の半分程度かそれ以下しか発揮できなかった。
日本とカタールもそこは同じだった。日本には8大会連続出場というノルマが、カタールには1992年のバルセロナ五輪以来3度目の出場への期待と大会開催国のプレッシャーがかかっていた。
日本とカタール、両国の事情に詳しいフィリップ・トルシエは、どちらにとっても難しい試合をどう見たのか。トルシエが語った。
カタールGKのレッドカードは厳しすぎると思った
――試合は見ましたか?
「ああ、見た。試合を終わりから語れば、日本の勝利に値する試合だった。しかしスタートから語るならば、懸けるものがとても大きな試合だった。とりわけ開催国であるカタールにとってはそうで、カタール代表にはもの凄く大きなプレッシャーがかかっていた。地元の観衆を前にした試合であり、開催国としての威信もあった。
日本が直面したのはそんな複雑で難しい試合だった。内容を振り返ったとき驚いた試合でもあった。レフリーがカタールGKを退場処分にしたのは本当に驚いた。レッドカードは厳しすぎると思った。私が見た限りでは、GKは日本の選手(細谷真大)にチャージする気はまったくなかった。
ペナルティエリアを飛び出して、ボールをヘディングでクリアすることのみに彼は集中していた。日本の選手はこの飛び出しにピッタリとはまった。GKの足が彼の腹部に当たったのは間違いない。しかしそれは故意ではなく、レッドカードは厳しすぎる。VARを確認したレフリーが、躊躇なくカードを提示したのも驚きだった。退場の後、試合はまったく異なるものになってしまった」
コンタクトがあった点で、レフリーは正しいが
――アジアカップの際にあなたは〈確認の映像では事象は映すがインパクトの大きさは再現されないので、映像を見たレフリーは事象のみで判断し、PKや退場の判定を下さざるを得ない〉と言いました。