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中日・立浪和義はなぜ中田翔獲得を熱望したのか? 指揮官が問題視した、2年連続最下位チームの“ゆるさ”「緊張感がなさ過ぎる」「叱ってくれる先輩がいない」
text by
喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/17 11:02
昨年秋に直撃した記者に立浪は現時点の問題点と同時にチームを変える新戦力への期待を語っていた
中日も、試合後にはそうしたメニューが準備されているのだ。なのに「試合前に食べるな」という事実の一端だけをつまんで、関心を引きそうな短いフレーズで騒ぎ立て、それが瞬時に伝わり、しかも増幅されていく。
SNS時代の、実によくない風潮だ。
「4、5年前まではなかったことですよね。頻繁に、ああやって野球界のニュースが流れるなんてね。あんなに出なかったでしょ?」
この球団のダメなところで、そこは問題
その変化に、私も戸惑っているのが、正直な思いでもある。取材の中身より、原稿の良し悪しより、いかに早く、そしていかに世間の関心を集めるかの方に焦点が移ってしまった。
だから『米騒動』とは、まさしくSNS時代にはうってつけの、キャッチーなフレーズだったことも、また間違いのないところではある。
「なんでそれが、球団内部からああやって漏れる、っていうことですよ。それがこの球団のダメなところですよ。そこは問題ですよ」
その緩んだ空気を引き締めるために、立浪は“睨み”を利かせようとしている。
「ちゃんとせい」と言う先輩が今、いない
中田獲得は、チーム内の厳しさを取り戻すために立浪が断行した一手でもある。
「今みんな、人のいい、優しい子ばっかりなんですよ。でも、選手が選手に対してピリッとする先輩とか、時には僕らが叱るより、選手が叱ってくれた方が効き目はあるんですね。『そういうこと、ちゃんとせい』とか言ってくれる先輩が今、いないんです。自分たちが現役の時、落合さんで強かった時は、もちろんレギュラー陣が揃っていたというのもあるし、谷繁(元信)であったり、自分であったり、少なくとも選手は、ロッカーでも緊張感を持っていたと思うんです。アカンことに対しては、荒木(雅博)や井端(弘和)にも、『ダメなことはダメやぞ』って、はっきり僕は言いましたんでね。そういう風になってこないと、チームって絶対強くならないんで」