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「オレは死なないから絶対にタオルは入れるな」“炎の男”輪島功一の闘志はなぜ衰えなかったのか? 執念の世界王座奪還で日本中を熱狂させた日 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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posted2024/04/06 17:05

「オレは死なないから絶対にタオルは入れるな」“炎の男”輪島功一の闘志はなぜ衰えなかったのか? 執念の世界王座奪還で日本中を熱狂させた日<Number Web> photograph by KYODO

1976年2月17日、8カ月前に敗れた柳済斗にリベンジを果たし、世界王者に返り咲いた輪島功一。こうして“炎の男”は伝説になった

「殴れるって喜びだよ。お前だって殴りたい人、いっぱいいるだろ。でも殴ったら大変なことになるから殴らない。やったら分かるんだよ。やっぱり(殴りっこは)ダメだと辞めるヤツもいる。そこは性格だけどね」

 若いころから腕っ節の強かった輪島さんだが、ケンカをしたことがなかったという。「ケンカしたら殺してやろうと思うから」という理由だそうだが、だからこそ内に秘めたパワーをリングで爆発させる喜びがあったのかもしれない。

「やっぱり世界チャンピオンになれたというのはうれしかったね。成功の喜びだな。勝てたことで、これだ、これしかないんだと思えるわけでしょ。オレなんか学歴もないからね。勝てば、よーっし、もっと稼いでやろう、とも思えるしね。いい意味で欲も出てくるんだよ」

 輪島さんのラストファイトから44年後の2021年、孫の磯谷大心がプロのリングに上がった。輪島さんの長女の長男である磯谷はデビュー3年目を迎えた現在も悪戦苦闘しながら、プロ選手としてキャリアを重ねている。輪島さんがリングに注ぐ視線はいまなお熱い。

<前編から続く>

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