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「南野拓実を外して堂安律…戦略自体は変わらない」トルシエがホンネで語る“日本代表・失敗の本質”「アジア杯まではよく機能していたが」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images/Kiichi Matsumoto
posted2024/02/26 17:30
ベトナム代表監督として日本代表と対峙したトルシエは、森保ジャパンの現状をどう見たか
「それに関して私は何も言えないが、森保は日本人の監督であり、日本の文化をよく理解している。選手に信頼も置いている。
ただ、日本の戦略が選手の個の能力に依拠しているのは明らかだ。選手はそれぞれが役割を担い、それぞれのポジションを占めている。目的はコレクティブな戦略を構築することではなく、選手を適切なポジションに配置すること。そして選手は、その状況で少なくとも能力の80%を発揮する。それが森保の戦略であり、選手を信頼して彼らを適切なポジションに配置する。
彼らに『仕事をしろ、走れ、選手同士のコミュニケーションを取れ、そして素晴らしい試合を実現しろ』と、語り聞かせるための心理状態を作り出す。すべてはそれをできるかどうかという選手の心理とモチベーション、意志に依拠している。
その戦略は、アジアカップまではよく機能していた。
森保は選手に参加することを求め、選手との関係において多くを変えた。それが成功したが、失敗したときに森保は選手を罰した。『南野(拓実)は出来が悪かった。だから外す』、『君の代わりには別の選手を起用する』という具合だ。しかし南野を外して堂安(律)を起用しても戦略自体は変わらない。代わりに起用した選手に同じ献身を求めるからだ。そこにはコレクティブな方向性は存在せず、戦略は個に依拠したままだ」
<つづきは第2回>