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持ったままで上がり32秒7、1年7カ月ぶりの実戦で圧勝…コントレイルの背中を知る福永祐一が「排気量は一番」と絶賛した“幻の最強馬”の逸話 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2024/02/13 11:01

持ったままで上がり32秒7、1年7カ月ぶりの実戦で圧勝…コントレイルの背中を知る福永祐一が「排気量は一番」と絶賛した“幻の最強馬”の逸話<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

1年7カ月ぶりのレースを3馬身差で圧勝したシルバーステート。福永祐一は同馬のエンジンパワーを「今までで間違いなく一番」と絶賛した

 つづく阪神芝外回り1800mの準オープン、6月24日の垂水ステークスも、コースレコードタイの1分44秒5で楽に逃げ切った。最後の10完歩以上を流していたので2着との差は1馬身半しかなかったが、ラスト200m付近では4馬身ほどもリードしており、そのまま軽く追っていれば4、5馬身差をつけ、コースレコードを更新していただろう。なお、2着のエテルナミノルは翌年の愛知杯を勝ち、3着のタツゴウゲキは七夕賞を挟んで小倉記念、新潟記念を連勝する強い馬だった。

 シルバーステートの次走は秋の毎日王冠の予定だったが、8月の終わりに屈腱炎を発症していることが判明。再び長期の休養を余儀なくされることになった。陣営は復帰を目指す方針だったが、結局、引退を決断した。

福永祐一が語った「排気量は間違いなく一番」

 新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬となり、初年度産駒のウォーターナビレラがファンタジーステークス、セイウンハーデスが七夕賞、リカンカブールが今年の中山金杯を勝つなど、初年度産駒から重賞勝ち馬が複数出るという順調なスタートを切った。2世代目の産駒のエエヤンもニュージーランドトロフィーを勝つなど活躍している。

 言ってもせんない「タラレバ」だが、この馬がクラシック戦線にいたら、勢力図は違ったものになっていたはずだ。また、古馬になってから、例えば、不良馬場になった天皇賞・秋で、キタサンブラックと戦っていたらどんな展開になっていただろう――などと、あれこれ考えてしまう。

 三冠馬コントレイルをはじめ、多くの名馬の背中を知る福永は、初年度産駒がデビューする前のタイミングで行われたインタビューでシルバーステートについて問われると、「排気量の大きさでいうと、今まで乗った馬のなかで間違いなく一番」と答えている。規格外にパワフルだったエンジンに、ボディがついていけなかったがゆえに、「幻の最強馬」になってしまったようだ。

 自身はGIに出走することすらできなかったが、巨大なエンジンパワーに耐え得る堅牢なボディを持った産駒が現れて、父が果たせなかったGI制覇の夢を叶えるシーンが現実になる可能性は、決して低くない。

 規格外の大物の出現を、待ちたい。

<「モノポライザー編」とあわせてお読みください>

#3に続く
8馬身差の衝撃デビューに武豊は「追えば飛ぶかもしれない」…あの“消えた天才”サラブレッドが「ディープ級」の期待を背負いつづけた理由

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