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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
大谷翔平の番記者が見たヘビースモーカー水原一平騒動の“生々しい記憶”「記事掲載後、彼の父からDMが」「傍聴席から見た表情は…」
posted2024/05/08 06:03
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki
3月23日午後8時。私のX(旧Twitter)のアカウントにダイレクトメールが届いた。ドジャース・大谷の元専属通訳だった水原一平容疑者の父・英政氏からだった。
「私の息子は球団内外問わず、電話やメールの返信が遅く時間にはルーズで有名だったんですね。私の知らなかった情報ありがとうございます」
弁明のメッセージを送ると「私の知る限り球団内外問わずと言うのは少し違うかなと思いました。それだけです」と返信が届き、その後は連絡が取れなくなってしまった。
水原通訳のコラムの編集を担当したことも
20日の韓国・ソウルでの開幕戦後。水原容疑者は違法賭博関与やドジャース・大谷翔平の銀行口座から不正送金した疑いが発覚し、21日朝に球団から解雇が発表された。翌22日付スポーツニッポン(以下、スポニチ)紙面で水原容疑者の人物像を表す際に、私は「球団内外問わずメールや電話の折り返しは遅く、時間にルーズな一面は一部で有名」と記述。その記事への反応が冒頭の英政氏からのメッセージだった。
水原容疑者は13年に外国人選手の通訳として日本ハムに入団し18年に大谷とともに渡米した。一方の私は14年から日本ハム担当、18年から現在までMLB担当。18年開幕時~22年冬まで「水原一平通訳 I REPORT」と題した本人コラムの編集も担当し、取材者としてグラウンド内外で10年以上、間近で見てきた存在だった。
その存在が「容疑者」になったからといって、“手のひら返し”すべきではないし、するつもりは毛頭ない。ただ、今回の事件がなぜ起こったのか、その原因を探ることは私の使命でもあり、避けられないことでもあった。
ある選手は「世間ほど驚きはなかった」という
水原容疑者は日本ハム時代から選手やメディアから親しまれる人柄だったが、私が記述した「ルーズな一面」はやはり否定できなかった。日本ハム時代に球団幹部から苦言を呈されている場面を見たことがあった。エンゼルス移籍後はクラブハウスでいつもスマートフォンを握り締め、電話を頻繁にしていたが、大谷の契約スポンサーからの連絡への返信も遅かった。「“返事を返してほしい”と伝えて欲しい」と伝言を預かったことは一度や二度ではない。
それでも返事がないため、現地打ち合わせできるかどうか分からないまま渡米せざるを得なかった担当者もいた。