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「イノウエはミスを犯した。だが…」英国人記者も興奮したネリ戦、井上尚弥“衝撃の初ダウン”「批判するのはおかしい」「PFP1位はやはりイノウエだ」
posted2024/05/07 17:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
JIJI PRESS
日本ボクシング史上最大の興行は新たな好ファイトを生み出した。
5月6日、東京ドームで行われた世界スーパーバンタム級の4団体統一戦で、井上尚弥(大橋)がルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKO勝ち。井上は初回にネリの左を浴びてプロキャリア初のダウンを喫するショッキングなスタートとなったが、その後、2、5、6回に合計3度のダウンを奪い返して豪快な勝利を飾った。多くのドラマを生み出したこの試合を、欧米の関係者はどう見たのか。
試合後、リングマガジンの元編集人(マネージング・エディター)であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るうイギリス人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。リングマガジン、スポーティングニュースの両方でパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキング選定委員を務めるグレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある。(以下、グレイ氏の一人語り)
「イノウエはもっと注意深く戦うと思った」
第1ラウンドに井上が喫したダウンには私も驚かされました。ネリのような強打者が相手なのだから、序盤の井上はもっと注意深く戦うと思っていました。だから何かドラマチックなことが起こるとすれば、フロアに倒れるのは井上ではなくネリの方だと予想していたのです。それが強烈にダウンしたのは井上の方でした。
ネリと日本ボクシング界の過去の因縁が影響していたのか、井上が序盤、気負っていたのは事実でしょう。たとえばスティーブン・フルトン(アメリカ)のようなアウトボクサーが相手なら、早くから積極的に攻めていくのは理解できます。一方で、ネリのようなタイプにいきなり仕掛けていったらリスキー。そういった意味で今戦の井上は向こう見ずであり、ミスを犯したと言えると思います。
あのダウンは一見すると強烈に見え、激しくダメージを負っていても不思議はなかったでしょう。