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「東京マラソンで日本記録の更新を」…日本長距離界の女王・新谷仁美が「走る理由はモチベーションより責任感」と言う“納得のワケ” 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byL)Hideki Sugiyama、R)JMPA

posted2024/02/10 11:02

「東京マラソンで日本記録の更新を」…日本長距離界の女王・新谷仁美が「走る理由はモチベーションより責任感」と言う“納得のワケ”<Number Web> photograph by L)Hideki Sugiyama、R)JMPA

3月の東京マラソンで日本新記録を狙うという新谷だが、東京五輪は1万mで出場(右)するなど本人曰く「マラソンランナーではない」という

「私は長距離選手であって、マラソン選手ではない」

 新谷を動かしているのは周りのサポートに応えたいという思いだ。

「日本記録更新を目指す私のために、いろいろな人がいろいろなところで動いてくれて、お金や環境も整えてくれて。それを返さなきゃいけないという責任を感じているからこそ、私は走れる。だから『他の選手に日本記録を出されたから、そこは目指しません』というのは、人としてありえないと思っています」

 東京マラソンで日本記録を出したい――。その決意の裏には、早々に一度マラソンから離れたいという思いもある。

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「この1~2年、どうしてもマラソンだけになっていたけれど、本来私は長距離選手であって、マラソン選手ではないんです。私に求められているのは長距離選手として、駅伝、トラック、マラソンに対して、ちゃんと結果を出すということだと思っています。

 マラソンだけに特化しても意味はないし、マラソンだけしか戦えない選手になるのは、どうしても嫌なんです。マラソンの練習だけしていると、当たり前のようにどんどんスピードが衰えていきます。さらに年齢も上がってきて、衰えも感じていて、昔みたいに新しい刺激がすんなりと入ってこなくなっている。だから、これからの限られた時間の中で、トラックのスピードを自分の中に取り入れようと思うなら、そろそろマラソンのストーリーは一度終わらせないといけない。『うかうかしていられない!』と思っています」

 以前話してくれた、5000m、1万m、ハーフマラソン、フルマラソン、4つの日本記録を樹立したいという目標を新谷は諦めていなかった。

 これまで規格外の強さを見せてくれた彼女が、東京マラソン、そしてその先のレースでどんな走りを見せてくれるのか。まずは3月3日を心待ちにしたい。

《インタビュー第1回、第2回も公開中です》

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「レース3日前にコーチと大ゲンカ」でも日本記録に肉薄だったのに…《東京マラソン参戦決定》新谷仁美が明かす「ベルリンで失速」のナゼ

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