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「東京マラソンで日本記録の更新を」…日本長距離界の女王・新谷仁美が「走る理由はモチベーションより責任感」と言う“納得のワケ” 

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林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byL)Hideki Sugiyama、R)JMPA

posted2024/02/10 11:02

「東京マラソンで日本記録の更新を」…日本長距離界の女王・新谷仁美が「走る理由はモチベーションより責任感」と言う“納得のワケ”<Number Web> photograph by L)Hideki Sugiyama、R)JMPA

3月の東京マラソンで日本新記録を狙うという新谷だが、東京五輪は1万mで出場(右)するなど本人曰く「マラソンランナーではない」という

「いつやめると言い出すか、本当にわからなかった。だから発表もできなかったんです」

 新谷の覚悟がようやく決まったのは1月下旬。手応えを感じた大阪国際女子マラソンのペースメイクを終えた直後だった。

 東京マラソンまで1カ月。調整期間を考えたら、練習期間はわずか3週間しかない。毎日トレーニングを積んでいるとはいえ、普通であれば間に合わないだろう。横田も「ギリギリですね」と話すが、その顔に焦りはなかった。

短期間の準備ゆえのメリットも

 2022年の東京マラソンでは、大会に向けた練習期間を3カ月に設定していた。

 一般的には決して長い期間ではないのだが、それでも当時、横田は「マラソンの練習をやりすぎてしまった。“マラソン選手・新谷仁美”になってしまって、新谷の良さがなくなってしまった」と語っていた。

 その反省を踏まえ、練習期間を1カ月に設定したのが、昨年のヒューストン・マラソンだった。タイムは日本記録までわずか12秒。3週間はさらにタイトなスケジュールだが、「新谷であれば」とかえって期待は膨らむ。

 元々、新谷はモチベーションを長く保つことが難しいタイプだ。

 だが、短期的であればモチベーションを積み上げることはでき、覚悟を決めたときの集中力には凄まじいものがある。

「当日のレースプランはまだ考えていません。ただ、今まで新田さん頼りだったのが、大阪で自分のリズムで走って、ペースを掴むことができたのは大きいですね。今回は大会側がペースメーカーを用意してくれているので、知らない選手が引っ張る可能性もあります。ある程度はペースに合わせるつもりですが、リズムが合わなかったらついていく必要はないと考えています」

 大阪国際女子マラソンでは前田穂南が日本記録を13秒更新。ハードルは上がったが、記録への意欲は変わらない。

「(出された)直後はもちろん悔しいと思いましたよ。だけど私はそもそもモチベーションというのがあまりないタイプなんです。結局、気にしても仕方がないし、自分がやるべきことをやるだけですよね」

【次ページ】 「私は長距離選手であって、マラソン選手ではない」

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