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「キャリア5年目でそんな偉そうなの?」それでもウナギ・サヤカがレジェンドから認められる理由…“400万円超”自主興行の参加選手もスゴい 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2024/01/06 17:01

「キャリア5年目でそんな偉そうなの?」それでもウナギ・サヤカがレジェンドから認められる理由…“400万円超”自主興行の参加選手もスゴい<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

ZERO1のリーグ戦「火祭り」にて、会場の子どもたちから声援を送られるウナギ・サヤカ

小橋建太に言われた「プロレスで一番大事なこと」

 後楽園大会を発表した10月には、ギャン期1周年を迎えた。同じ月にアメリカの新団体、日米の女子プロレスをミックスした「KITSUNE WOMEN'S WRESTLING」で初代シングル王者になった。年末には江頭2:50とYouTubeで“対戦”、TBSの「SASUKE」にも。名前が広まったこともあってか、チケットは年が明ける前に完売した。引退興行ならともかく、個人で後楽園完売は快挙と言うしかない。

 何もかも、ギャン期が始まった頃には考えられなかったことだ。常に挑戦を忘れずやってきたが、といってすべてが自分の力だとは思わない。いろんな人に導かれて、支えられた結果だと素直に言う。

「プロレスラーって、対戦相手がいないと何もできないんですよ。それにお客さんがいないと何も始まらない。幸せなことに、私には両方が揃ってるんです」

 大事なポイントで大事な人と出会えたことも幸運だった。小橋建太とはKAIRI戦の時だけでなく、アメリカ遠征中に再会。じっくり話をする機会があった。ウナギは率直に「プロレスで一番大事なことってなんですか?」と聞いてみたそうだ。小橋はこう答えてくれた。

「決まってるよ。プロレスが好きっていう気持ちだよ。好きなことを仕事にすると苦しいこともある。でもその先、やっぱり好きだってことが大事なんだよね。ウナギちゃんはプロレスが大好きだから大丈夫だよ」

誰よりもプロレスラーらしく

 強豪と闘っても結局、勝てていない。口は立つが実力が足りない。練習してるのか。ありとあらゆる批判を浴びて、苦しむこともあった。しかしプロレスが好きだという気持ちさえあれば、他に何がいるんだと思えるようになった。ひつま武士たちには勝つ姿を見せたい。しかし勝ち負けだけでは体現できないものを見せてこそのプロレスラーだとも思う。そして、誰よりもプロレスラーらしく生きているという自負もある。その一つの集大成が自主興行だ。

 強気で生意気で圧倒的なバイタリティがあり、その一方で汗も涙も人一倍流してきた。スターダムを離れたことを「都落ち」と評したメディアもあったが、どの会場でもウナギの物販には長蛇の列ができる。自分の行く場所を都に変えたのだ。自主興行を経て、都はさらに大きくなる。ただ、ギャン期2年目がどうなるかは自分でも分からないそうだ。

「まずこの大会が終わってみないと。本当にすべてかけてるので。いや具体的に全財産かけてますからね(笑)」

 間違いなく、並のレスラーには言えない言葉だ。

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