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「キャリア5年目でそんな偉そうなの?」それでもウナギ・サヤカがレジェンドから認められる理由…“400万円超”自主興行の参加選手もスゴい
posted2024/01/06 17:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
2024年、最も活躍が期待されるプロレスラーの1人がウナギ・サヤカだ。一昨年10月にスターダムを離れ“ギャン期”と称してさまざまな団体に乗り込んだ。
格上のレスラーにも「査定してやる!」と言い放ち、井上京子、ジャガー横田といったレジェンドとも対戦。センダイガールズを代表するタッグ、橋本千紘と優宇のチーム200kgに1人で立ち向かったことも。
安納サオリとタッグを組み、小橋建太プロデュース興行ではKAIRIとシングルマッチ。それも川田利明推薦選手としての出場だ。マーベラスでは長与千種に可愛がられ、全日本プロレスのビッグマッチにも参戦した。八面六臂という言葉がこれほど似合う選手もいない。昨年の段階で、東京スポーツ新聞社制定の「女子プロレス大賞」に推す声もあった。
男子相手のリーグ戦は“全敗”だったが…
とりわけ印象深いのは、ZERO1のリーグ戦「火祭り」にエントリーしたことだ。試合中のケガで長期欠場中の大谷晋二郎が久しぶりに会場を訪れた5月、ウナギに直接、出場を打診している。
「今の僕には男も女も関係ない。優勝するつもりがあるなら、出てください。僕はあなたが火祭りに出たら面白いと思います」
大谷晋二郎に導かれての火祭り。レガースに「大谷晋二郎に捧ぐ」と入れて臨んだ公式戦プラス決勝大会での特別試合、計6試合のシングルマッチは当然、すべて男子選手が相手だ。
結果は全敗。しかし2023年の火祭りにおける話題の中心は間違いなくウナギだった。“当たって砕けろ”ではなく必死に勝ちにいこうとする試合ぶり。対戦相手も真っ向から受けて立った。
「出る前はマジで不安だったんです。でも対戦相手が手加減せずにやってくれた。気が抜けなかったし必死でやって、結果は全敗。だけど胸を張って全敗と言えます」
男子のプロレスは、細かい部分で女子とは違うものがあった。それを学んだ上でウナギは言う。
「結局は男子も女子もプロレスはプロレス。固定観念が勝手に決められちゃってるこの世界を解放したいですよね」