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甲子園の風BACK NUMBER
《今年は3人プロへ》5年連続ドラフト指名の京都国際高監督が「プロ待ち」をさせない“納得のワケ”…「プロに行くならそれなりの覚悟を持って」
posted2023/11/18 17:01
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Asahi Shimbun
今年も甲子園常連の名門校・強豪校の主力選手がまさかの「指名漏れ」に泣いたプロ野球ドラフト会議。その一方で、甲子園出場はわずか3回だけの京都国際高からは、同時に3人の選手が育成指名され、これで指名は5年連続となる。なぜ、同高の選手はプロから“選ばれる”のだろうか? その秘密を野球部の小牧憲継監督に聞いた。(前後編の後編/前編から読む)
今秋のドラフトでは京都国際高野球部から杉原望来、浜田泰希、長水啓眞と3人の選手が育成指名を受けた。
そのうち杉原は、高校入学直後から「プロに行きたいから京都国際を選びました」と、はっきりと「高卒プロ」を志望していた。
野球少年の高校選びの理由は、ほとんどが「甲子園に行きたいから」だ。プロに行きたいからこの高校に、という志望理由は「甲子園に――」に比べれば少ない。
だが、京都国際にはそういった風潮が甲子園未出場だった頃からあった。
甲子園を目指すか、プロを目指すかというジレンマ
時は流れ、21年春に甲子園に初出場し、その夏にはベスト4まで勝ち進み、府内でも上位進出する機会が増えた今は「甲子園に行きたいからと入学してくる子の方が増えましたね」と明かした上で、小牧監督は現状ならではのジレンマも口にした。
「野球を始めるきっかけは、だいたいは甲子園に行きたいか、プロ野球選手になりたいじゃないですか。以前は、プロを目指すならセンスがあっても少々粗さがある選手をどう育てていくかを考えて指導してきましたが、甲子園に行く、試合で勝とうとなると徹底的に細かい確率を求めた野球をしないといけない。
最近は甲子園に行かせてもらうようになって、勝つことや甲子園に行くことで成長する、というのも経験してきたので、どちらが正しいっていうのはないと思っています。ただ、昔のようにプロだけを見据えるのではなく、チームとして勝つための指導と同時進行しないといけない大変さは痛感しています」