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「勇大くんも来てくれるんじゃないかと」 東野有紗が明かす、渡辺勇大とのわたがしペア結成秘話…“余り者同士”の相性の良さは「奇跡ですね」
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![松原孝臣](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byL)Asami Enomoto、R)JIJI PRESS
posted2023/11/11 11:00
![「勇大くんも来てくれるんじゃないかと」 東野有紗が明かす、渡辺勇大とのわたがしペア結成秘話…“余り者同士”の相性の良さは「奇跡ですね」<Number Web> photograph by L)Asami Enomoto、R)JIJI PRESS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/700/img_9e6dedbcaf5a30372ea01348cf026e9e411695.jpg)
直近のアジア大会では銀メダルを獲得、来年のパリ五輪では金メダルへの期待もかかる東野有紗
渡辺勇大との出会いは「余り者同士」のペア
そのとき、バドミントンへの向き合い方を変える転機があった。
「先輩と(女子)ダブルスをやらせてもらって、バドミントンの楽しさが広がりました。シングルスだと自分がミスしたら自滅して負けて終わりだけど、ダブルスはパートナーの力もプラスされて、自分が駄目でもパートナーが助けてくれたりするのがすごく楽しくて。自分1人の力じゃなく、力を合わせてやる種目ってすごく楽しいなって思えました。ダブルスの道だったら上を目指せるんじゃないかなって、ちょっとずつ不安は解消されたと思います」
1人じゃない楽しさを知ったとき、もう1つの転機があった。中学3年生のとき、富岡高校・富岡一中の合同でインドネシアに遠征する。当地での大会でミックスダブルスに出場する際、組んだのは渡辺だった。
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東野は「余り者同士」と表現する。
「男女、強い者同士で組まされるじゃないですか。余った2人、最後に監督から発表されたのが私たちだったんです。監督は『そんなことない』って言ってたけれど(笑)。悔しさ? なかったです。すごい先輩と組まされるよりはいいかなと」
渡辺との第一印象「喋れない…どうしようみたいな感じでした」
渡辺は1年後輩だった。
「勇大くんが入学してきて、最初に会ったときのことは覚えてないです。めちゃめちゃ細くてちっちゃかったのと、あまり喋らない子だなっていうイメージでした」
組むことが決まっても、会話はあまりなかった。
「他の人たちは仲良くしているけれど、喋れない、どうしようみたいな感じでした」
なかったのは会話だけではなかった。
「まったく練習もしてなくて、ほんとうにぶっつけ本番くらい」
ところが出場した大会で、先輩たちや同年代のペアよりも好成績をあげたのだ。
「そのとき、勇大くんは腰を怪我していました。それなのにこんなにうまくいくんだ、お互いに無駄な動きがなくてスムーズにローテーションできるんだ、と思いました」