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「プライベートは全く知らない」驚きの告白も…バドミントン東野有紗が渡辺勇大とのコミュニケーションに悩んだ過去「喧嘩は一回もないです」
posted2023/11/11 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
東野有紗は2018年3月の全英オープン優勝を「奇跡」と表現する。世界ランキング40位台のペアが、数ある国際大会の中でも随一の歴史と格式を誇る舞台での優勝をそう表すのは不思議ではないかもしれない。
その結果をもたらした背景には、たしかな変化があった。「コミュニケーション」における取り組みである。
きっかけは同年1月、ミックスダブルスの担当コーチにジェレミー・ガンが就任したことだった。彼はマレーシア代表で指導にあたっていた経歴を持つ。
教わったのは、どう展開を予測してプレーを組み立てるのか。ゲームプランニングや、どのように意図してプレーするのかなど、指導は多岐にわたった。
加えて指摘されたことがあった。
「ジェレミーさんからは、『コミュニケーションが大事なんだよ』と教えてもらいました」
そして、そのための時間を提供された。
「ジェレミーさんが『今日ここでミーティングをしよう』『(渡辺と東野の)2人でこれを話そう』という具合に、話す場所をたくさん作ってくれました。やっぱり2人で話すというのも恥ずかしいところがあったので、ジェレミーさんに作ってもらって、そこで2人で意見などを交換し合いました。全英オープンに出たのはそれから2カ月後くらいでした」
渡辺とのコミュニケーション「悩んだりしたことはありました」
取り組みを重ねて、「お互いに通じあっていると思っていたけれど、違っていた」と実感した。
「それまでは阿吽の呼吸でやっていた感じで。コミュニケーションをとれていたつもりで、でも実はコミュニケーションをまったくとっていなかったんだと気づきました。初めて『ああ、そう思ってるんだ』と知れた部分がたくさんあったんです」