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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「冨安健洋の復帰が攻守両面でファクターに」中村憲剛がドイツ戦“完勝の理由”を徹底解説「あのドイツを手のひらで転がしている印象さえ…」
posted2023/09/20 11:08
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
9月の欧州遠征で、日本代表がドイツ代表、トルコ代表を連破した。ドイツのホームに乗り込んで4ゴールを奪い、1失点に抑えてカタールW杯に続く勝利をつかんだ。先発メンバー10人を入れ替えた中立地でのトルコ戦も、つねに先行する展開で4対2の勝利をつかんでいる。
今年3月から第二次体制がスタートした森保一監督率いるチームは、これまでよりもひとつ上の領域へ足を踏み入れつつあると言っていい。日本代表MFとしてW杯のピッチに立ち、現在はS級ライセンスを受講中の中村憲剛氏に日本の戦いぶりを解説してもらう。(全2回の1回目/後編へ)
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「正面からぶつかり、普通に勝った」ドイツ戦
ドイツ戦でまず触れるべきは、ドイツ代表のチーム状態でしょう。カタールW杯でグループステージ敗退を喫し、2023年のテストマッチでもベルギーやポーランドに敗れていました。日本戦の前には、「今度また日本に負けたら、ハンジ・フリック監督が解任される」との報道がありました。そういった周囲の空気は選手たちも当然感じていたはずです。しかし、僕がテレビ越しに観た印象では、W杯のリベンジをする絶好の機会に「ホームで日本を倒してやる」というエネルギーやパワーといったものは、そこまで強く感じられませんでした。結果論にはなりますが、一体感に欠けていた印象です。
そして、日本に敗れたことでフリックは解任されました。暫定監督のルディ・フェラーに率いられたドイツは、直後のフランス戦に2対1で勝利しました。日本戦とフランス戦では、選手の熱量が違ったのではないでしょうか。
そうは言っても、ドイツのホームゲームです。「同じ相手に連敗するわけにはいかない」「無様な試合は見せられない」というプライドはもちろんあったはずで、展開によっては日本がやり込められてもおかしくない試合になるのでは、と予想していました。
その前提に立つと、日本の戦いぶりはとても頼もしかった。ガチンコで正面からぶつかり、普通に勝ったという印象です。普通とはつまり、偶然ではないということです。
日本の選手たちからは、「ドイツだからといって、ビビる必要はないでしょう」という姿勢を感じ取ることができました。それは、カタールW杯で勝っていること、招集前の試合で好調な選手が多かったことも関係していたと考えられます。