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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「冨安健洋の復帰が攻守両面でファクターに」中村憲剛がドイツ戦“完勝の理由”を徹底解説「あのドイツを手のひらで転がしている印象さえ…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2023/09/20 11:08
ドイツ戦完勝の大きな要因となった冨安健洋。中村憲剛氏は「見事なパフォーマンス、抜群の存在感」と高く評価した
自分たちから守備に穴を空けてまでドイツと殴り合うのではなく、突かれたくないところを先にしっかりと埋める。「試合の波」をあえて作らないような設計をし、そこから追加点を狙うプランで、実際に後半終了間際に2点を奪い取りました。リードする展開だったというのはありますが、W杯優勝4回のドイツを手のひらで転がして戦っている感じさえしました。
森保一監督が継続して指揮をとるメリット
昨年11月ドイツとの対戦から、まだ1年も経っていません。今年3月のウルグアイ、コロンビアとの試合は難しいものがありましたが、6月の2試合も含めて積み上がっていると感じます。一人ひとりの選手がクラブで積み上げているものもありますし、チームとしても短い活動期間のなかでコンセプトをしっかりと共有できるようになっている。
これは、二次体制のメリットでしょう。
カタールW杯後はドイツ戦が5試合目です。もし新監督が就任していたら、戦い方を浸透させる最中でメンバーも固まっていない、という状況でもおかしくありません。新監督のもとでの戦いでは、ここまでのあうんの呼吸は生まれていないかもしれない。
新監督がメンバーを大幅に入れ替えなかったとしても、選手は自分の色を出そうと考えるものです。メンバーやシステムが変わることは想定内でしょう。
就任1年目で数試合目の新監督が指揮をとっていた場合と、就任6年目を迎えた森保監督では、当然のことながら成熟度がまったく異なります。コンセプトは浸透していますし、トレーニングでもミーティングでも、やることが大幅に変わることはないでしょう。継続性を土台とした安定感は、とても強く感じました。いわばドッシリとしている。そのうえで、ドイツ戦に続くトルコ戦では、フレッシュな印象を与えました。
中2日ということもあったと思いますが、ドイツ戦とトルコ戦で選手の起用法も含めたマネジメントができていたと感じます。2試合をうまく使うことができていました。
<後編「中村憲剛のトルコ戦解説」に続く>