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森保ジャパン4-1のウラ側に選手も驚く〈40%の真実〉…谷口彰悟の見立て、堂安律が語っていた「ボール保持は増やしたい。ただ、60%も必要ない」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKenta Harada/Getty Images
posted2023/06/21 11:06
4-1で快勝したペルー戦。意外と気づきづらい「40」をキーワードにして見直してみると……
ビルドアップにボール保持、そして“相手を見る”
谷口の言葉にもあるように、第2期森保ジャパンが始動した今年3月シリーズから、ビルドアップやボール保持のレベルアップがひとつのテーマになっているのは間違いない。
なかでも、“ウイング・インサイドハーフ・サイドバックによるローテーション”や“サイドバックの片上げによる3枚回し”、“インサイドハーフの大外レーンへの移動”など、相手と戦況に応じてビルドアップを変化させるチャレンジは、このペルー戦と6-0の大勝を飾った5日前のエルサルバドル戦の随所に見られた。
相手や戦況に応じて変えるのは、ビルドアップの仕方だけではない。
例えば、ペルーはボランチのひとりをディフェンスラインに落とすサリーダ・ラボルピアーナや、左サイドに人を多く割くオーバーロードでボール保持の安定を図ってきた。
それに対して日本は、4-4-2のブロック守備を微調整し、前線は左寄りに三笘、古橋亨梧、鎌田大地が、中盤は右寄りに伊東、遠藤航、旗手怜央が並ぶ4-3-3気味の守備ブロックを組み、潰すべきところは潰し、マークをボカすところはボカしながら、相手のやり方にアジャストしていった。
こうした“相手を見てサッカーをする”ことについても、谷口は手応えを滲ませる。
「すごくアンテナ高くやれていたと思います。(キャプテンの)航を中心に、前線はどうやっていくのか話し合えていましたし、後ろも相手の狙いを消しながらやれていました」
自陣から攻撃を組み立てて意図的に崩すことを狙いながらも、ときに相手にボールを持たせ、自陣に引き込んでからショートカウンターを繰り出す戦い方も、相手や戦況に応じたサッカーだと言えるだろう。
ボール支配率こそ劣ったものの、シュート数は12対8で日本のほうが上。ボール支配率に比例するパス本数は421本対566本だったが、パス成功率は84.6%と85.2%とほぼ互角で、高い成功率を誇った。これは意図的にボールを動かせていたことを証明するものだ。
そして、スコアは4対1――。
ボール保持率40%でも十分ゲームをコントロールし、ゴールを陥れることができる。
いや、むしろ40%くらいのほうが、ポゼッションとカウンターをうまく使い分けられているのではないか。
カタールW杯ではドイツに対して26.1%、スペインに対して17.7%(いずれもopta)だったが、世界の強豪相手にも、ボール支配率を40%まで伸ばすことができたなら……。
W杯後に堂安が語った「せめて40%」の意味
思い出すのは、カタールW杯終了後に行った堂安律のインタビューである。
半年後、10番を背負うことになる男は、こんなふうに語っていた。