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森保ジャパン4-1のウラ側に選手も驚く〈40%の真実〉…谷口彰悟の見立て、堂安律が語っていた「ボール保持は増やしたい。ただ、60%も必要ない」
posted2023/06/21 11:06
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kenta Harada/Getty Images
その数字を聞いたとき、右サイドバックとして先発した菅原由勢は「え、そうなんですか」と驚きの声をあげた。自身の感触とはまったく異なっていたようだった。
センターバックの板倉滉も同じように驚きを隠せなかった。
「こっちのボール支配率が4割!? あんまりそういう感覚はなくて……」
そう、彼らが驚いたのは、その試合において、どちらのチームがどれだけボールを保持していたかを表すデータだ。伊藤洋輝、三笘薫、伊東純也、前田大然のゴールで4-1と快勝した6月20日のペルー戦のボール支配率は、相手が59%だったのに対し、日本が41%だったのである。
かくいう私も試合後にスタッツを見て、意外に感じたひとりだ。ペルーは個の能力が高く、戦術的な戦い方にも長けた難敵だったが、日本がそこまで押し込まれた印象もなかったからだ。
W杯の時と違って「持たせている」感覚
昨年のカタールW杯でドイツ、スペインによって自陣に釘付けにされた経験を持つ板倉が続ける。
「(カタール)W杯のときのように“持たれている”感はなく、ボールを持たれていても嫌な感じはしなかった。それは、“持たせている”という感覚でやれていた証拠だと思うし、逆に自分たちのボールになったらクオリティ高くカウンターを繰り出したことがうまくハマったと思う。それが得点につながったのかなって」
ボール支配率40%の正体を探るべく、もうひとり話を聞いた。同じくカタールW杯に出場したセンターバックの谷口彰悟だ。
――今日はいい内容のゲームだったが、実はボール支配率は40対60で、日本が下回った。それでも日本がゲームをコントロールする時間は長かったし、カウンターからしっかり仕留めることができた。40対60という数字を聞いて、どんなことを感じる?
そう尋ねると、谷口は自身の考えを整理しながら、こう語った。
「森保さんの2次政権になってから、ボールを握る時間を増やしていこう、と言われています。ただ、ボールを持つことが目的じゃないし、相手との兼ね合いもある。ペルーが後ろでボールを繋ぎながら僕たちを引き出し、2トップを生かしてくることはスカウティングにもあったし、試合が始まってからもすぐに分かった。それならどの辺りから取りに行き、どう奪い、どう攻撃をするか、みんなで共通認識を持ちながらやれたし、逆に、こっちが相手を引き込んでショートカウンターを繰り出せた。
ボールを持てるなら持ちますけど、相手に持たせるというか、奪ってからのカウンターも日本の武器にしていかなければいけないと思っていて。今日はボールは持たれていても嫌な感じはせず、要所要所を抑えてカウンターを狙うという戦い方を整理しながらやれたと思います」