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侍ジャパンの「WBC優勝賞金4億円」、W杯は「ベスト16で21.2億円」“横暴なMLB運営”の改善をマイアミ現地観戦後に願う 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2023/04/05 17:01

侍ジャパンの「WBC優勝賞金4億円」、W杯は「ベスト16で21.2億円」“横暴なMLB運営”の改善をマイアミ現地観戦後に願う<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本国内に熱狂をもたらしたWBC。その一方で大会全体の運営についてはいまだに改善されるべきポイントは多い

 1863年にイングランドで競技のルールが制定され、1884年、英国4協会の代表チームが「ブリティッシュ・ホーム・チャンピオンシップ」という対抗戦を創設。以後、毎年開催した。このような状況で、フランスを中心とする欧州諸国が1904年、W杯開催を目指してFIFAを設立したが、英国4協会は見向きもしなかった。FIFAは1930年に第1回のW杯を開催したが、英国4協会は参加を拒否。イングランドが初めてW杯に参加したのは、1950年だった。

 フットボールは英国から欧州諸国へ伝播し、フランスを中心とする欧州諸国が英国抜きにでも国際組織を設立したことからW杯開催を実現し、世界的な普及を実現できた。しかし、野球においてはフットボールでフランスが果たしたような役割を果たす国が出現しなかった。

変革すべき役割を果たすのは、日本なのではないか

 いや、実はそのような役割を果たしてしかるべき国がある。日本だ。

 日本には野球の競技人口、プロリーグ、組織力、ファンからの支持がある。しかし、悲しいかな、国際的な視野とビジョン、政治力、交渉力に欠ける。このため、野球の世界的な普及に熱心ではなかったアメリカの欠点を補うことができず、現在もWBC運営におけるアメリカの横暴を正すことができていない。

 この現状を覆す一手として考えられるのは、日本が韓国、台湾、中国と連携し、4カ国の経済力と競技力を背景としてMLBに国際組織に設立を働きかけるか、せめて公平で効率的な大会運営を促すことだろう。この4カ国抜きでは、WBCの運営と発展に支障をきたすのは間違いないからだ。さらに言えば、日本が1次ラウンドで対戦したチェコでは、初めて地上波テレビで野球中継がされたという。欧州など北中米、東アジア以外の地域での普及に対して、日本のファンを含めて関心を持つきっかけを作ったとも言える。

 しかし、問題は日本球界が今挙げたようなビジョン、政治力、交渉力、実行力、説得力、胆力をMLBにぶつけられるかどうか。もしそれがなければ、今後もWBCはMLB以外の誰にとっても不完全で不公平な形で継続していくことになるのだろう――非常に残念ながら。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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