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侍ジャパンの「WBC優勝賞金4億円」、W杯は「ベスト16で21.2億円」“横暴なMLB運営”の改善をマイアミ現地観戦後に願う

posted2023/04/05 17:01

 
侍ジャパンの「WBC優勝賞金4億円」、W杯は「ベスト16で21.2億円」“横暴なMLB運営”の改善をマイアミ現地観戦後に願う<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本国内に熱狂をもたらしたWBC。その一方で大会全体の運営についてはいまだに改善されるべきポイントは多い

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Naoya Sanuki

WBCではMVP大谷翔平を筆頭にした侍ジャパンの激闘に日本列島が興奮した一方で、“運営方法の影”がつきまとう。ブラジル在住で準決勝・決勝をマイアミ現地観戦した日本人ライターがその問題点を整理した。

 第5回WBCは、侍ジャパンの14年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。東京で行なわれた第1ラウンド4試合と準々決勝(対イタリア)は、結果的には圧勝の連続。マイアミへ移動してからは、準決勝メキシコ戦での劇的なサヨナラ勝ち、決勝の地元アメリカとの息詰まる投手戦、さらには大谷翔平とエンゼルスの同僚マイク・トラウトの一騎打ちという絵に描いたような幕切れと、侍ジャパンと日本のファンにとっては最高の内容にして結末となった。

どうしてもぬぐいきれない“WBCへの5つの疑問”

 その一方で――大会を通じて、多くのファンは以下のような疑問を抱き続けたのではないか。

 1)なぜ開催時期がシーズン開幕前の3月なのか。
 2)なぜ出場を拒んだり、出場を望んでも球団側の意向などで欠場を余儀なくされる選手がいるのか。
 3)なぜ集中開催ではなく、いつも1次ラウンドは複数の場所で、決勝ラウンドはアメリカで開催されるのか。
 4)日本では大人気なのに、なぜアメリカでの盛り上がりが今一つなのか。
 5)なぜ球数制限などシーズンにはない制約があるのか。

 フットボールやラグビーのワールドカップ(W杯)のような他競技の世界大会と比べて、不可思議な事柄があまりにも多い。参考までに――直近のFIFAワールドカップとWBCの違いを列挙してみよう。

 ・世界の競技人口(推定)/W杯:2億6000万人、WBC:3500万人(約7.4倍) 
 ・主催団体/W杯:FIFA(世界の全サッカー協会を統括する組織)、WBC:MLB(アメリカのプロ野球機構)
 ・主催団体創設年度/W杯:1904年、WBC:1876年
 ・開始年度/W杯:1930年、WBC:2006年
 ・開催回数/W杯:22回、WBC:5回
 ・開催時期/W杯:通常、シーズン終了後の約1カ月、WBC:シーズン前の約2週間
 ・予選を含めて参加した国と地域/W杯:210、WBC:28
 ・本大会に参加した国と地域/W杯:32(26年大会からは48)、WBC:20
 ・賞金総額/W杯:4億4000万ドル(約583.9億円)、WBC:1440万ドル(約19.1億円)
 ・優勝チームが手にする賞金/W杯:4200万ドル(約55.7億円)、WBC:300万ドル(約4億円※1次ラウンド1位通過の場合)
 ・直近の大会における日本の成績/W杯:ベスト16、WBC:優勝
 ・日本が獲得した賞金:W杯:1600万ドル(21.2億円)、WBC:300万ドル(約4億円)

賞金についてもW杯と大きな格差が

 フットボールと野球の普及度、W杯とWBCの歴史と規模の違いは一目瞭然である。

 FIFAが100年以上前から普及に努め、93年前に真の世界大会を創設したのに対して、MLBは普及への努力が遅れ、わずか17年前に、それもかなり不完全な形で世界大会を始めた(注:FIFAは男子の年齢別W杯とクラブW杯、女子のW杯と年齢別W杯も開催している)。

 大会の賞金総額は約31倍、優勝チームが手にする賞金も14倍違う。昨年のW杯カタール大会でベスト16に入ったサムライブルーが手にした賞金は、今回のWBCで優勝した侍ジャパンが獲得した賞金の5倍以上だ。

【次ページ】 五輪競技から外れた中、過去WBCはトップ選手が

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