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投壊、96敗、バッシング…「あの経験があったから」ヤクルト・中村悠平の闘争心の源 古田敦也&嶋基宏と取り組む最強の「フレーミング術」も明かした 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/02/15 11:02

投壊、96敗、バッシング…「あの経験があったから」ヤクルト・中村悠平の闘争心の源 古田敦也&嶋基宏と取り組む最強の「フレーミング術」も明かした<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「野村ID」の系譜を受け継ぎ、さらに進化を目指すヤクルト・中村悠平

「メジャーのキャッチングって凄いんですよ。キャッチングというか、フレーミングですよね。構えからして、日本の野球は昔から変わらず、椅子に座るようにしゃがみ込む形で構えますけど、メジャーの最近の主流はこんな風に(片方の足を伸ばしたり、片膝をついたり)構えたり、すごく低く構えたミットをパーンと上げてキャッチングする。ボールを下から見る感じなんです。実はそういうのも今、嶋コーチと話し合いながら取り入れているんです。参考にしたり、モノマネするところはモノマネしたりして」

古田臨時コーチに学び、嶋コーチから指導を受け… 

 今季からバッテリーコーチに就任した嶋コーチはなんでも相談できる兄貴分的存在。際どいコースをストライクに見せる捕球技術であるフレーミングを向上させるべく、キャンプ中から話し合い、新たな取り組みをしている。

「嶋さんが、メジャーのフレーミングの動画をキャッチャー陣に送ってくれて、どうしたらああいう風にできるのか、練習で色々試したりしています。キャッチャーの技術も時代と共に主流が変わってきていますから昔とは全然違う。ただ、今(春季キャンプの)臨時コーチに来られている古田(敦也)さんが現役の頃って、実はそういう(今風の)感じだったんですよ。古田さんは体が本当に柔らかいので、足首を曲げた状態でお尻もぺたんとつけて、下からボールを見るという感覚で捕球ができていた。あれは本当に難しい。真似できないですよ」

 思えば、今キャンプで中村は、臨時コーチの古田氏に学び、嶋コーチから指導を受けている。いずれも日本を代表する司令塔で、国際経験も豊かな二人に見守られる鍛錬の場は、全国のキャッチャー垂涎の贅沢な環境だ。

「古田さんにも国際試合でのリードの話や、メンタル面、考え方などのお話を伺っています。本当に恵まれていますよね」

 古田氏は42歳まで現役を続け、嶋コーチも38歳の年までマスクを被った。いずれも野村克也監督から英才教育を受けた、「野村ID」の申し子だ。

「お二人から言われるのはまず、怪我だけはしないように、ということ。僕も32歳ですから自分の体に気を遣わなければいけない場面も増えている。その上で固定観念にはとらわれず、色々な可能性も見出していきたいと思っています。ここ2年間いい成績を収められていることで、色々なことにチャレンジできるということもある。これはWBCに行っても同じ。期間は短いですけど、色々なことにチャレンジして、トライしていきたいと思いますね」

【次ページ】 「打たれて負けるのは、バッテリーの責任」

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