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史上最強の呼び声も! WBC侍ジャパン栗山監督が考える大谷翔平の”一番いい場所”とは? 5年越しに実現される「2番」起用の可能性
posted2023/01/10 17:10
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、日本代表の動きが活発になってきている。
1月6日には栗山英樹監督とロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が会見を行い、大谷を含む日本代表の先行メンバー12人も発表された。
この先行メンバー12人だけでも、大谷に加えてサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手、オリックスの山本由伸投手にロッテの佐々木朗希投手、また野手陣もシカゴ・カブスの鈴木誠也外野手にヤクルトの村上宗隆内野手など、錚々たるメンバーが顔を揃える。最終的に今回の侍ジャパンは、野球の日本代表史上「最強」の呼び声が聞こえても不思議ではない布陣となるはずだ。
そんなスター揃いのチームを率いて期待を寄せたいのが栗山監督の手腕である。
スター選手の能力を引き出す栗山監督の先見性
日本ハムを率いた10年間の最後の数年は、どこかチームを活性化できないままに結局、スター候補の清宮幸太郎内野手も育てきれずにチームを去ることになったようにも見える。
ただ、大谷やダルビッシュ、現巨人の中田翔内野手など力のあるスター選手を預かった時には、その能力を引き出すことに非常に長けた監督という印象も残している。そしてそういう素材さえ揃えばこの監督の先見性は、メジャー方式を標榜する日本ハムという球団にマッチしていた。
その1つの好例として思い出されるのが日本ハム時代の大谷を、当時の常識にとらわれずに「2番」で起用したことだった。
いまでこそ日本のプロ野球でも、強打者を2番に据える攻撃的オーダーは、打線編成の1つの選択肢となっている。ただ、ほんの数年前までは、NPBではまだ2番は「つなぎ」という固定観念が支配していた。そのため2番にはバントや右打ちなどの小技が上手い打者を置いて、クリーンアップに繋げるのが正しいとされ、強打の選手を2番に起用しようものなら「野球を知らない」と“大御所”のお叱りを受けた。