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史上最強の呼び声も! WBC侍ジャパン栗山監督が考える大谷翔平の”一番いい場所”とは? 5年越しに実現される「2番」起用の可能性
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/10 17:10
WBCに臨む記者会見でがっちりと握手を交わした栗山英樹監督と大谷翔平
「翔平には2番で使うことを話したときに、これまでの2番の固定観念は捨てて、自由に打っていいよという話はしたんだけれどもね。やっぱりどこか彼の中でこれまでの“2番打者像”を捨てきれなくて、普通の2番打者のようなバッティングになってしまっていた」
大谷もまた、まだこの頃は従来のイメージに縛られていたのだ。結局、それでは2番で使う意味はないということで、「2番・大谷」は日本ハムでは2度とスタメン表に記されることはなかった。
ただ、それから5年が経った現在はどうだろうか。メジャーでも大谷は2番を何度も打ち、WBCでも大谷のポテンシャルを最大に引き出す打順として2番が最有力視されている。あのとき栗山監督がさまざまな固定観念や偏見を排除して見据えていた大谷の「一番いい場所」は、いまは紛れもない現実となっているのだ。
固定観念にとらわれない栗山監督の魅力
「こういうものだ」「こうあるべきものだ」という固定観念にとらわれない。それが栗山監督の指導者としての魅力である。だからこそこれだけのメンバーを揃えた日本代表では、引き出すべきチームの可能性がより大きくなる期待感も膨らんで来る。
常識を破る選手の登用としては、セントルイス・カージナルスの日系メジャーリーガー、ラーズ・ヌートバー外野手の代表入りも、その1つだった。
「ジャパンの監督の使命の中に一番、強いチームを作るというものがあるのであれば、当たり前に参加できるすべての選手の可能性を探る」
こう語りこれまでは代表候補の俎上にも上がらなかったMLBや、その傘下のマイナーリーグでプレーする日系選手の出場の可能性を模索。その中から可能性のある選手6、7人を調査した結果、母親が日本人のヌートバーが日本代表で出場できることが判明。本人も母親の母国代表としての参加を熱望したことで、代表入りが内定している。