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[36年ぶりの戴冠]アルゼンチン「メッシが神になった夜」
posted2022/12/22 07:03
text by

吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Masahiro Ura
大団円、である。
出来過ぎと言えば、あまりに出来過ぎのストーリー。しかし、W杯史上に残る死闘の末に決勝で敗れたフランス代表とそのサポーターを除けば、これほど誰もが納得の「最終回」もないだろう。
リオネル・メッシが、自身5度目のW杯で初めて世界の頂点に立った。クラブレベルでタイトルを総なめにしてきたサッカー界のスーパースターが、「最後の挑戦」と公言して臨んだカタールW杯で、栄光のキャリアに唯一欠けていた黄金のトロフィーを、ついに手に入れたのだ。
それはもはや、親心に近かった。
なにしろ、バルセロナでプロデビューを飾ってから18年もの長きにわたって、第一線を走り続けるのを見てきたのだ。たとえ熱心なメッシ信者でなくても、とりわけ親世代は少なからず、我が子に注ぐような眼差しでその成長を見守ってきたのではないか。喜びも、悲しみも、彼が味わったすべての感情を無意識のうちに共有しながら、ともに年齢を重ねてきたような気がする。
だから、もう失敗はしてほしくなかった。打ちひしがれる小さな背中はもう見たくなかった。超難関校の受験に挑み続ける我が子を想う、そんな親心。どうか今回こそは、吉報を届けてあげてほしい。子どもの夢の実現を願わない親はいないはずだ。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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