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メッシ35歳ついに「満たすべき空虚」W杯にキス…“天才への非情な重圧”にマラドーナが「重荷を背負わせるな!」とキレた日とは
posted2022/12/19 11:04
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
<名言1>
ゴールを決めるのは難しいし、決めたら決めたで高くつくからね。次を期待されてさ。
(リオネル・メッシ/Number693号 2007年12月6日発売)
◇解説◇
ついに、ついにメッシがW杯トロフィーを掲げる瞬間が訪れた。
2022年12月18日、カタールW杯決勝アルゼンチンvsフランスはサッカー史に残る大激闘の末、120分間を戦って3-3。そこからPK戦でアルゼンチンに軍配が上がった。メッシは先制点となるPK、延長戦で一時は勝ち越しとなるチーム3点目を挙げるなど2ゴールをゲット。PK戦でも相手GKロリスの動きを読み切るPK成功で、念願の世界一の座を手に入れると、表彰式ではW杯トロフィーに何度もキスをした。
冒頭の発言は――そんなメッシが飛ぶ鳥を落とす勢いだった20歳頃の発言である。
バルサのカンテラ(下部組織)出身のメッシは10代にしてトップチーム昇格、さらにはとんとん拍子で名門のレギュラーをつかむと、宿敵レアル・マドリーとのエル・クラシコで史上最年少ハットトリックを決めるなど、一躍スターダムに上り詰めた。
そして稀代の名将ジョゼップ・グアルディオラのもと、“偽9番”とも呼ばれるメッシ独特のポジショニングで相手守備陣を幻惑。常人離れした決定力でゴールを積み重ね、サッカー史に残る英雄へとなっていく。
若くして積んだ経験値は圧倒的。当時バルサに所属していたドスサントス、クルキッチという同年代のライバルを「刺激にはなってもプレッシャーになることはない。プレッシャーを感じるのはむしろ彼らの方だと思う。2人とも少しずつ進んでいけばいい。僕がそうさせてもらったように」と、先輩としての配慮を見せた。
盟友イニエスタが語った“メッシの本当の価値”
<名言2>
時が経てば、僕らが勝ち続けていることの本当の価値が分かることになるはずだ。
(アンドレス・イニエスタ/Number臨時増刊 欧州蹴球戦記2014-2015 2015年6月13日発売)
◇解説◇
2014-15シーズンのバルセロナはリーガ、国王杯、CLの三冠を制覇した。ユベントスとの決勝を制し、4度目のビッグイヤーを掲げたイニエスタはこのように話した。グアルディオラ体制で確立したポゼッションと、メッシ、スアレス、ネイマールの「MSNトリオ」の決定力が融合しての偉業を、普段は謙虚なイニエスタも誇りたくなったのだろう。
ともにカンテラ出身のイニエスタからのパスを受けたメッシが仕留める――何度も見てきたバルサの必殺パターンだったが、2人の天才の存在が、2010年代のフットボールを輝かせたことは確かである。
メッシがW杯出場へ「怖さ」を感じた日
<名言3>
もちろんプレッシャーはあったし、怖さはあったよ。
(リオネル・メッシ/Number940号 2017年11月22日発売)
◇解説◇
メッシがこれまでW杯と縁がなかったというのは、世界のサッカーファン共通の認識だ。前回大会のロシアW杯でも苦難の連続だった。
アルゼンチンは南米予選最終節でエクアドルに勝利してロシア行きの切符を手に入れた。しかし当時のチームは、エクアドル戦前の5試合ではPKと敵のオウンゴール以外では得点を挙げていないという深刻な決定力不足に陥っていた。