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<独占インタビュー>「治療は家族にとって大きな負担だった」メッシが明かす“ホルモン分泌異常”と13歳での故郷との別れ
posted2021/12/15 17:00
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
L’Équipe
『フランス・フットボール』誌12月4日発売号はバロンドール特集である。その巻頭を飾るのは、史上最多となる受賞記録を7回に更新したリオネル・メッシのインタビューである。
何がメッシを空前絶後の存在にしたのか。その理由を、インタビューを担当したフローラン・トルシュ記者はメッシ本人の口から導き出そうと試みている。それが成功しているかどうかは読者の判断に委ねるが、メッシ自身は内なる思いを包み隠さず語っているのは間違いない。
3回に分けて掲載するインタビューの、まずは第1回から。(全3回の1回目/#2に続く・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
「これは全部パパが獲ったの?」
2年前にメッシが6度目のバロンドールを受賞した際にインタビューがおこなわれたのは、バルセロナからおよそ20km南西に下ったカステルデフェルスの自宅だった。彼の家族は今もそこに荷物を置いているが、今回、彼が『フランス・フットボール』誌の一行を招き入れたのは、こぬか雨降るなか訪れた彼のパリの自宅だった。
「大理石を傷つけるといけないから、すまないが玄関で靴を脱いでくれ」。階段では3人の子供たちが妻のアントネラとともに好奇の目を向けている。
「パパ、これは全部パパが獲ったの?」と、居間のテーブルに並べられた7つのバロンドールを見て長男のチアゴ(9歳)が驚きの声をあげる。はじめて受賞した12年前(2009年)には、彼はまだ生まれていなかったという事実が、過ぎ去った時間の長さを実感させる。トイプードルのアブまでが、彼の偉業を喜ぶかのようにはしゃぎ回っている。たとえ同じことの繰り返しであっても、メッシはそれに倦怠感を抱かない。何度目であろうと、彼はこの上ない喜びを表すのだった。