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「キャプテン、佑都くんは見ていて…」堂安律24歳が目指す先輩・吉田&長友からの“継承”「2人に共通しているのは“安心感”と“説得力”」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/08 17:02
クロアチアに敗れた翌日、堂安に話を聞くと、日本サッカーの理想と現実を語り、カタールで長い時間をともにした先輩への感謝を口にした
それが、吉田麻也、長友佑都ら先輩たちの言動からの学びだ。
堂安は、今大会、食事などの際は、できるだけキャプテンの吉田や長友らW杯経験者であり、ベテランの選手と一緒に過ごすようにして、彼らから目を離さなかった。
キャプテンや佑都くんみたいな人は、今の若い選手にいない
「キャプテン、佑都くんは、まさにリーダーですよね。人として信頼できますし、そういう人がうしろにいて声をかけてくれる。いろんな状況を想定して動くキャプテンや佑都くんみたいな人は、今の若い選手にいないです。2人に共通しているのは、いるだけで感じられる安心感であり、ロッカールームでの話などの説得力ですね。それがどこから来ているのか分からないですけど、普段の立ち振る舞いとか発言、練習する時の態度を僕は一緒に生活している時に見ているんですけど、そういう細かいところを大事にしているんです」
吉田も長友もコメント力、語彙力には昔から定評があり、彼らの前には多くのメディアが集まる。プレーでチームを引っ張り、仲間を鼓舞する。とりわけ長友は、北京五輪代表時代からチームの応援団長のような立ち位置でチームを盛り上げ、今大会も金髪から赤髪にして、ベンチではイエローをもらいかねない位置まで前に出て仲間を激励していた。そういう熱さを見て、何も思わない選手はいないだろう。
僕はチームではリーダーにならないといけない
「僕は、キャプテンや佑都くんからたくさんのことを学ばせてもらいました。ただ、彼らも先輩方の背中を見て、ああいう存在になったと思うんです。次は、僕らの東京五輪世代が多いですし、そのメンバーがそういう役目を背負っていかないといけない。僕は、エースになりたいって、ずっと言っていますけど、チームではリーダーにならないといけないと思っていますし、その覚悟を持って今日からやっていきたいと思います」
クロアチア戦後は、歴史を変えられなければすべてがゼロになるわけではないが、ドイツ戦、スペイン戦の勝利は意味がなくなると語っていた。
だが、堂安の意識の中にはいろんなものが刷り込まれた。初めてのワールドカップは、自らのサッカー人生において次に繋がるものがたくさん得られたことを考えれば、「新しい景色を見る」ということに等しかったのではないだろうか。
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