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なぜ堂安律の優勝宣言に苦言を? 誰よりも日本を知る男・ミキッチが熱弁「例えばクロアチアがブラジルに…」「モリヤスは続投すべき」

posted2022/12/08 17:01

 
なぜ堂安律の優勝宣言に苦言を? 誰よりも日本を知る男・ミキッチが熱弁「例えばクロアチアがブラジルに…」「モリヤスは続投すべき」<Number Web> photograph by Yasuyuki Nagatsuka

現在はスロベニアのマリボルでアシスタントコーチを務めるミハエル・ミキッチ氏。かつての指揮官・森保一監督に惜しみない称賛の言葉を述べた

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長束恭行

長束恭行Yasuyuki Nagatsuka

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Yasuyuki Nagatsuka

2009年から2018年まで10シーズンに渡ってJリーグでプレーし、“ミカ”の愛称で親しまれたミハエル・ミキッチ氏。カタールW杯で母国クロアチアと「第二の祖国」と語る日本との対戦が実現したことで注目を集めた右サイドのスピードスターは、サンフレッチェ広島時代の盟友・森保一監督について何を語ったのか。インタビュー後編では、同氏のあふれんばかりの日本愛と、日本サッカー界への熱いメッセージをお送りする。(全2回の2回目/前編へ)

堂安律の優勝宣言に苦言を呈したワケ

――あらためて、今大会の日本の戦いぶりをどう評価していますか?

 優勝経験のあるドイツとスペインに勝った。前大会のW杯準優勝国のクロアチアには公式記録上で負けていない。最後にPK戦で負けただけ。それは予想をはるかに上回る成功だ! 今のチームはとても若いので、4年後のW杯で彼らが爆発することを本当に期待している。PK戦での敗北と同じく不運に挙げられるのは、板倉滉が累積警告でクロアチア戦を欠場したことだね。

――結局のところ、両チームの差はなんだったのですか?

 私はビッグトーナメントでの経験の差だと思う。クロアチアは長い年月にわたって激しい試合を戦い続けてきた。W杯、EURO、ネーションズリーグ……。高いレベルでプレーすることで大きな経験を培ってきた選手グループだ。

――大会前から堂安律が優勝を狙うと公言していましたが、クロアチア公共放送であなたは苦言を呈していましたよね。

 私は「野心的すぎる」と言った。自分をしっかりと信じ、自尊心を持っているスポーツ選手はとても好きだし、評価もしている。しかし、ある状況においては現実的になること、そして謙虚な姿勢が必要。つまり、一段ずつ階段を登っていくんだ。サッカー選手の誰もがW杯優勝を夢見ていることを私も知っているよ。しかし、W杯の舞台にはフランス、ブラジル、クロアチア、イングランドなどの強豪国がいる。彼らは手強い相手なんだ。

 例えば、今の私は「準々決勝でクロアチアがブラジルに勝てる」なんてとても口にできない。ブラジルの試合を見たけど、あれは恐ろしいチームだ。想像を絶するほど強力だ。今のクロアチアがブラジルに勝つのは非現実的とさえ言える。ブラジルに勝てるとしたらサプライズが起きた時だけ。つまり、運に恵まれなくてはならないし、想像以上のエネルギー、あっと驚くような戦術がなければならない。そして、事実上ノーミスでプレーしなければならない。それらが起こらない限りはクロアチアに希望は持てない。

【次ページ】 「日本サッカー界に“冬”は訪れない。しかし…」

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