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「キャプテン、佑都くんは見ていて…」堂安律24歳が目指す先輩・吉田&長友からの“継承”「2人に共通しているのは“安心感”と“説得力”」
posted2022/12/08 17:02
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
堂安律にとって、今回のカタールワールドカップは、世界での自分の立ち位置、そして日本というチームの力を知り、多くの学びと経験の場になった。
堂安は、2021年の東京五輪に出場した「東京五輪世代」である。
2点取っても自分がやってやったぞという感はない
今大会には、その世代の選手たちが代表チームに入って活躍している。キリアン・エムバペ(フランス代表)を筆頭に、ペドリ(スペイン代表)、リシャルリソン(ブラジル代表)らだ。中でもエムバペは、今大会ですでに5ゴールを挙げ、得点ランキングのトップをひた走る。彼以外にも世界のトップクラスの選手がピッチで躍動し、堂安は間近で、テレビで見てきた。「W杯は夢の舞台」と言い続けてきたが、そのピッチに立った今回、世界のトップに手が届くところに自分がいると思えたのだろうか。
「この大会では、それは感じなかったです。近くに行けば行くほど遠くに感じました。エムバペは、僕と同年代ですけど、すごいですし、コーディ・ガクポ(オランダ代表)も僕がPSVにいた時、ベンチにいた選手だったんですけど、今回、あれほど活躍するとは思っていなかった。だから、2点取っても自分がやってやったぞという感はないですね。むしろ、これから誰よりも努力をしないといけないと思っています」
ドイツ、スペイン戦は理想の戦い方ではなかった
自己評価が厳しいのは、基準が個人よりもチームのベスト8にあったからだ。目標を達成できなかったことがすべてであり、試合で何点取ろうがあまり意味がないと考えている。
「東京五輪で、二度とああいう思いはしたくないと思いながら努力してきたんですが……。今もクロアチア戦の大舞台で決められなかった未熟さを感じています」
堂安は、謙虚にそう語った。
同世代や世界レベルの差を肌で感じる一方で、日本代表のチームの実力、課題も明確に感じられた。特に、痛感したのは、堂安が担った攻撃面だ。ドイツ、スペインには戦術がかみあい、勝利を挙げたが、ボールを保持し、主導権を握って攻撃できたコスタリカ戦では、攻撃が機能せず、無得点。クロアチア戦でも2点目を奪えずに敗れた。