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「もちろんPKの練習もしてきた」南野も三笘も吉田も…4本中3本ストップ、あのクロアチアGKが明かした“本音”「PK戦はクジ引きみたいなもの」
text by
ウラディミール・ノバクVladimir Novak
photograph byAFLO
posted2022/12/07 17:25
日本代表1人目のキッカー、南野拓実のPKをストップするクロアチア代表GKリバコビッチ
ただしクロアチアには、どこにも負けない反骨の精神がある。前回大会では決勝トーナメントに入ってから3試合連続で延長戦を戦い、2度のPK戦を制して決勝に勝ち上がっている。だから不屈のバトレニ(クロアチア代表の愛称。燃え盛る炎の意)にとっては、前田大然の日本の先制点は着火剤のようなものだった。今大会の日本もそうだったが、劣勢になっても動じることはなく、むしろそこからが勝負と、仕切り直したようなところがある。
後半にイバン・ペリシッチが完璧なコースへの強烈なヘディングで試合を振り出しに戻すと、以降は疲れの色を隠せなかったルカ・モドリッチら主力を交代させ、追加点を狙いにいった。しかしスコアはそれ以上動かず、延長、そしてPK戦に突入していった。
ここでもクロアチアはいくつも不利な点を抱えていた。まず、普段PKを任される選手たち──モドリッチ、マテオ・コバチッチ、イバン・ペリシッチ、アンドレイ・クラマリッチら──がベンチに下がっていたこと。そしてコイントスで後攻になったこと(PK戦は先攻が有利だと統計で証明されている)と、それが日本のサポーターの前で行われるようになったことだ。
ダリッチ監督「日本の誰かがクロアチアは楽だと言ったそうだ」
だがクロアチアの面々はやはり強靭な精神力を備えていた。日本のキッカーの多くが重圧に押し潰されたようなシュートを打った一方、クロアチアはひとり目のニコラ・ブラシッチから自信に満ちたキックでネットを揺らしていった。
120分を振り返ると、どちらが勝ってもおかしくなかったと感じる。クロアチアが誇る黄金の中盤──モドリッチ、コバチッチ、ブロゾビッチ──にも、日本は遠藤航を中心に互角に渡り合った。モドリッチの巧みなハーフボレーを防いだ権田修一はこの日も好調だったし、三笘薫のドリブルはやはり危険だった。
クロアチアを率いるズラトコ・ダリッチ監督は試合前に、スペインやドイツよりも日本のほうが与し易いと話していたが、接戦に競り勝った後は随分と安堵しているように見えた。