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「アンタは天才だから」巨人“育成の星”松原聖弥は、後半戦のキーマンになれるか? 原監督・亀井コーチも認める天性の打撃センス「オレはちょっと焦らしてるの…」
posted2022/07/29 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
前半戦の巨人の失速はネットメディアの格好の餌食になっている。
指摘されている様々な原因と失敗。主に原辰徳監督の采配をめぐる批判なのだが、そこには納得できるものもあれば、全く的外れなものもある。
もちろん誰もが思う失速の一番の理由は投手陣、特に前半戦でクローザーの大勢へとつなぐ、勝利の方程式を確立できなかったことだった。同時に原監督の先発投手の見切りも早く、その結果、リリーフ陣に負担がかかり過ぎて、役割分担も不安定になっていた。
打線も坂本勇人内野手の離脱は仕方ないとしても、代わりに打線を支える中心選手、おそらく岡本和真内野手が果たすべき役割だが……その中心軸となる選手が現れなかった。それならばチーム全体でカバーしていくしかない。だが、曲がりなりにも働いたといえるのは好不調の波はあったものの、丸佳浩外野手とアダム・ウォーカー外野手、それに死球による離脱はあったが、二塁のレギュラーへと成長した吉川尚輝内野手ぐらいで、あとはいつものようにやりくりで凌ぐしかなかった。
原監督の宣言「同じ力なら若手を使う」
若手を使え、という声をよく聞く。
「同じ力なら若手を使う」
原監督がこう宣言して臨んだシーズンだ。そこには、「同じ力」という言葉以上に、もう一歩、進んだ形での若手登用の意思があったはずだ。
だからチャンスがあれば一軍経験のない中山礼都内野手や山瀬慎之助捕手、喜多隆介捕手らを一軍に呼んで、少しでも雰囲気を味わわせた。その中で結果を出した増田陸内野手は、同時期に中田翔内野手が結果を残しても一塁で使い続けた。ただ、明らかに中田の状態が上回ったとき、増田は先発から外れていかざるを得なかった。
結局は誰かが育てるのではない。プロの世界でレギュラーを獲る選手は、みんな自分の力でその一瞬の競争に勝って、自分の力で育ってきた。
坂本もそうだったし、岡本もまたそうだったはずである。
そのための競争の場をどう与えるか。それが「同じ力なら若手を使う」という指導者の仕事なのである。