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格闘技PRESSBACK NUMBER
疑惑のシバターvs久保優太を裁いたレフェリーの“違和感”とは? 和田良覚(59)が斬る格闘技界の根深い問題「八百長はないが忖度はある」
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/03/04 17:01
昨年末の『RIZIN.33』でシバターvs久保優太のレフェリーを担当した和田良覚が、格闘技界の問題点について語った
八百長よりも深刻な“忖度”やレフェリーの技術不足
――海外ではレフェリーやジャッジに八百長が持ちかけられるという話をよく聞きます。和田さんはジャッジも務められていますが、そういったご経験はありますか?
噂には聞きますけど、来たことないですね。そういう意味では、日本の格闘技界はクリーンなんだと思います。むしろ、真面目すぎて八百長よりも忖度の方が問題な気がします。ある一部のレフェリーやジャッジの忖度や、技の見極めができないレベルの低さ、ストップやブレイクのタイミングがひどい。
――かなりの爆弾発言な気がしますが……具体的に忖度やレベルの低さとは?
忖度というのは、主催者やお客さんに対してのものです。スター選手を負けにするとブーイングを浴びるとか、力のあるジムからクレームが入るとか、ビビっているんじゃないですかね。肩書きや影響力に負け、大会が盛り上がるように有利な判定を行うわけです。少しくらい負けていてもジャッジがドローにしたり、ひどい時には勝たせてしまったり……。
また、レフェリーが止めるべきタイミングで止めず、逆に止めてはいけないタイミングで止めて選手を助けてしまうこともあります。加えて、単純にスキルが未熟であるがゆえに、まさに攻撃をするタイミングでブレイクやストップをしてしまうレフェリーもいる。
これらは事前に打ち合わせているわけではなく、個々人がその場の空気を読んでやっていることです。判定になって「え? そっちが勝つの?」みたいなことってありませんか?
――ありますね……。
僕はスター選手だろうと普通の選手だろうと、日本人だろうと外国人だろうと、同様にリスペクトを持っているので忖度は絶対にしません。具体的にどの試合とは言いませんけど、僕がジャッジを務めて2対1の1の方になったケースは多々ありました。決して自分が正しいと言っているわけではありませんが、当たり前に格闘技を知っている人が見たらそうはならないのではないか、と疑問に思うことが多すぎる。もちろん三者三様のスプリットデシジョンもありますし、自分も判断を誤る場合があるので絶対とは言えませんが……。ジャッジとしてのレベルが高く、忖度をしない先輩たちとは、あまり(判定が)割れることはないですね。
なんにせよ、血反吐を吐きながら死ぬほどキツい練習をして、人生と命を賭けている若者の夢がそんなミスジャッジで潰れたら報われないですし、申し訳なく思います。
――八百長や忖度のほかにも“疑惑の試合”はあるのでしょうか?
八百長ではありませんが、たまにファイトマネー目的の外国人選手がすぐに負けて試合を終わらせようとするのは見かけますね。ある選手が開始直後にラッシュを喰らった時に、こっちを見てくるんですよ。「早く止めてくれ~」って(笑)。でも有効なパンチが入ってないのはわかっていたので、「GO、GO!」って声をかけたら諦めて反撃したんですよ。結果、フルラウンド打ち合って判定勝ち。ホラできるじゃねえかって(笑)。