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格闘技PRESSBACK NUMBER
疑惑のシバターvs久保優太を裁いたレフェリーの“違和感”とは? 和田良覚(59)が斬る格闘技界の根深い問題「八百長はないが忖度はある」
posted2022/03/04 17:01
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph by
Kiichi Matsumoto
2021年大晦日から2022年初頭にかけて、格闘技の根底を揺るがす“八百長疑惑”が持ち上がった。問題となったのは『RIZIN.33』で行われたシバターvs久保優太。シバターが1ラウンドで久保から一本勝ちを奪ったのだが、試合前に「1ラウンド目は流して、2ラウンド目からお互い本気でやろう」といった旨のやりとりをしていたことが発覚したのだ。この試合を裁いたレフェリーの和田良覚は、過去に類を見ない騒動に怒りを覚えていた。(全2回の2回目/前編へ)
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「顔面へのパンチを打たなかったのは確かに不自然」
――物議を醸したシバターvs久保をもっとも近くで見ていたのは和田さんになりますが、何か違和感はありましたか?
シバターっていつもあんな感じなんですよ。僕は『THE OUTSIDER』の時から見ていますけど、真剣勝負の試合でも、コミカルというかエンタメというか……。なので試合中のトリッキーな動きも変と言えば変ですけど、通常通りなのかなと。あれでちゃんと戦えるから、ある意味たいしたもんだなとは思います。でも今になって思い返すと、久保が顔面へのパンチを打たなかったのは確かに不自然だったかもしれません。ただそんなことより、こっちの仕事は安全が第一なんで、八百長がどうとかは一切考えませんでした。僕は危険がないように試合を裁く、それだけです。
――試合前に両者の“交渉”の噂は耳に入っていませんでしたか?
それはまったくありません。もし聞かされていたらレフェリングを断っていますし、そんな試合には二度と関わりたくない。これで格闘技界に八百長が蔓延っていると思われたら許せないですよ。僕は30年間レフェリーをやってきましたけど、担当した試合でこんなことが起きたのは初めてですね。
――シバター選手が台本を持ちかけ、それを自ら破った形になります。これについては?
試合前にいろいろシバターが言っていたみたいですが、自分たちには関係ないですし、知ったこっちゃないですね。久保に関しては、単純に男を下げたなと思います。もし勝っていたら、問題のLINEは流出したのか? 事前の交渉を認めたのか? 他の選手に失礼ですよ。格闘技界には、貧乏しながらストイックに死ぬ思いでやっている選手がいっぱいいるんですよ。冗談じゃない。ただ久保も元は実力のある男ですから、このまま終わらずになんとか立ち直ってほしいですね。