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JリーグPRESSBACK NUMBER
「あなたが佐伯さんですか。てっきり、どなたかの奥様かと」Jリーグ常勤理事が語る「圧倒的に男性社会」な日本スポーツ界の課題
posted2022/02/20 11:02
text by
宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
photograph by
AFLO
Jリーグの佐伯夕利子理事が、スペインに渡ったのは1992年。Jリーグが開幕した翌93年、19歳の若さで指導者の道を志している。
2003年、日本のS級ライセンスに相当する「NIVEL III」に合格。その後、UEFA Proライセンスを取得する。スペイン3部のプエルタ・ボニータで、トップチームを指揮することになった時は、日本でもニュースになった。そして、アトレティコ・マドリーやバレンシアCFを経てビジャレアルCFの育成部門の責任者となり、2年間の「期限付き移籍」で2020年にJリーグの常勤理事に就任。
常勤理事とは、つまるところ「Jリーグのために24時間準備する」ことを意味する。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、佐伯理事の帰国は当面見合わせに。結果、Jリーグでは「スペインからリアルな情報を提供してもらうほうが有益」という結論に至った。スペイン在住の常勤理事が誕生したのは、こうしたJリーグの柔軟なマインドがあればこそである。
自身の役割について佐伯理事は「(欧州スタンダードに基づいた)違和感を大切にすること」としている。当然、反発もあるだろう。「日本は人権リテラシーが低いかもしれないけれど、ヨーロッパにだって人種差別や性差別があるのでは?」と反駁する人も出てくるかもしれない。
そこで、本稿のテーマである「スポーツ現場におけるハラスメントとの決別宣言」からいったん離れて、佐伯理事がスペインで指導者を志した頃の話に、少し寄り道していただくことにしたい。(全2回の2回目/前編へ)
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