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浦和レッズが本気でJ1優勝を狙うなら…「残りは全部勝つ」飢餓感と野心はあるか?《開幕戦・京都サンガに敗戦》
posted2022/02/21 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kyodo News
1週間前に行われたスーパーカップでJ1王者の川崎フロンターレを2-0で下した浦和レッズが、12年ぶりにJ1に復帰した京都サンガF.C.に0-1で敗れてリーグ開幕戦を落とした――。
こう書くとセンセーショナルだが、京都が引いて守ってワンチャンスを仕留めたわけでも、油断した浦和が足をすくわれたわけでもない。
「非常にスリリングで、アグレッシブな展開だった」
京都の曺貴裁監督はそう振り返ったが、その言葉には大きく頷ける。
京都はハイラインを保ちながらハイプレスを繰り出し、浦和はロングボールを織り交ぜて駆け引きしながら応戦し、とにかくタフで、激しく、スピーディな好ゲームだった。
J2・2位で昇格したチームは、翌年のJ1で勝ち点の“草刈り場”となることも少なくない。しかし、浦和戦での京都からはダークホースとなり得るポテンシャルが感じられた。
一方の浦和は、選手5人とコーチングスタッフ5人が新型コロナウイルス陽性となり、週初めの練習が中止となる非常事態。ベンチに体調不良の選手、負傷明けで出場時間が限られている選手、アカデミーの選手を入れなければならないほどだった。
だが、準備不足や大幅な戦力ダウンをものともせず、決定機の数では浦和が上回った。キャプテンの西川周作は「今日の試合はもったいなかった、とみんなが感じている」と、勝てるゲームを落としたことを悔やんだ。
優勝への本気度が伝わるからこそ“次につながる”ではなく
浦和にとっては、間違いなく次につながるゲーム――。
リカルド・ロドリゲス体制1年目の昨年なら、そう気持ちを切り替えて、前に向かって進めばよかった。
しかし、今季はそれで済ませるわけにはいかない。なぜなら……。
3年計画の3年目だから。
本気でリーグ優勝を狙っているから。
近年のクラブの姿勢から、本気度が伝わってくるから。
勝負の2022シーズンを迎えるにあたって、チーム改革の先頭に立つ西野努テクニカルダイレクターは、こんなふうに語っている。
「『まあいいか』で終えるのか、『これでいいのか?』と踏み込めるのか。フロンターレや(横浜F ・)マリノスをベンチマークにしていますが、彼らはトラップのズレ、パスコースのズレが極めて少ない。ちょっとしたズレが実は大きなギャップになるんです。その大きなギャップが最終的に勝ち点の差や順位の差になる。昨シーズンの勝ち点の差はすごく開いていますが、そうしたズレを修正していけば、十分埋められる。だから、『ドンマイ文化』をなくしたい」
「勝負を分けるのは、本当に勝ちたいという欲を」
さらに、今季のテーマについて、こう続ける。