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JリーグPRESSBACK NUMBER
「日本の人権リテラシーは極めて低い」Jリーグ常勤理事が“9000字超の長文”で「ハラスメントとの決別」を宣言した理由とは
text by
宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
photograph byTetsuichi Utsunomiya
posted2022/02/20 11:01
2月12日、「FUJI FILM SUPER CUP 2022」でベガルタ仙台のマスコット・ベガッ太と写真に収まるJリーグの佐伯夕利子常勤理事
たとえばビジネス方面からも「これは職場でも同じだよね。上司と部下との関係とか」みたいなお話を聞きます。ハラスメントというのは、要するに「大人のいじめ」なんですよ。指導現場や教育現場と同じようなことが、あらゆる場所で起こっているという現状について、もっと私たちは意識的になる必要がある。でないと、より良い社会になっていかないんです。
残念ながら私たちは、人権リテラシーが極めて低い、日本という国に生まれ育ってしまった。中年以上の世代であれば、このまま何となく消化していけるのかもしれないけれど、これからの時代を生きる世代は違います。どんどん海外に出ていく人もいるでしょうし、海外からもどんどん人が入ってくる。そうなると、日本国内での常識は通用しなくなっていきます。
文化も人種も民族も、何もかもがごちゃ混ぜになる時代が、すぐそこまできています。そうした中、世界の常識から最もかけ離れていたのが、私たちが当たり前と思っていた人権リテラシー。それが世界に対して、強烈なカルチャーショックを与えてしまったら、もはや手遅れなんですよ。
私たちは常に世界を意識して、世界という土俵に意識的に上がっていかなければならない。それが、グローバルという考え方であることを、日本の方々に伝えていきたいと思っています。ハラスメントが、普通のこととして受け入れられている環境こそが「実は普通ではない」という話を、これからも言い続けていく必要があります。
海外から尊敬されないリーグに未来はない
これまで日本という国は、よくも悪くも国内で完結できていたんですよね。経済もそうだし、教育もそうだし、スポーツもそう。人口が1億2000万人もいれば、事業も成り立つし、学校も成り立つし、クラブ経営も成り立っていたわけです。
ところがご存じのように、これから日本は少子高齢化によって、どんどん人口が減っていくわけです。2050年には、生産年齢人口が5000万人台になるとも言われています。これまでは、日本人向けの商品やサービスを提供してきて、説明書も日本語だけで問題なかった。そうした常識が、これから先の時代は通用しなくなっていくわけです。