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パワハラ問題に揺れた旧友・金明輝(鳥栖前監督)への想いも…40歳梁勇基、仙台復帰で誓う2009年の再現「J2降格は他人事ではなかった」
posted2022/02/19 17:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
VEGALTA SENDAI
4人の子どもの良きパパでもある梁勇基(リャン・ヨンギ)は、佐賀を離れるべきか悩みに悩んでいた。
「子どもたちが佐賀の学校で仲良くなった子たちと離れるのが嫌だって言うんです。それを聞くと父親としては複雑な気持ちですよね……」
子を持つ親の揺れ動く感情が見え隠れする。だが、もう一つ、“自分の家族”のような存在の現状も無視できないでいた。
「ベガルタ仙台のJ2降格は他人事ではありませんでしたね……。16年間お世話になりましたし、自分のことを大切に育ててもらったクラブ。だからこそ、昨年の降格は自分にとってもショックでした」
梁は真剣な表情でそう語り始めた。
古巣ベガルタ仙台へ復帰の理由
昨年までの2年間、サガン鳥栖でプレーし、今季からベガルタ仙台に完全移籍した。プロデビューした仙台で、生え抜きの中心選手としてサッカー人生のすべてを注ぎ込んだクラブに対して、“他人事ではない”という感情を抱くのはごく自然なことだろう。
梁が続ける。
「これは少し変な話になるかもしれませんが、もしそのまま仙台がJ1で今シーズンを戦うことになっていれば、自分は多分、サッカーをやめていたのかなと思います。ただ、J2降格を見た時に何か自分の中で引っかかるような感覚があったのは事実です」
少し驚いたのは、実は「引退」の選択肢があったことだ。仙台の現状にモヤモヤした気持ちはありつつも、一方で「2020年に鳥栖に行くことが決まった時には、『ここでやり切ろう』っていう思いが強かった。そういう気持ちで鳥栖に来ました」という。だからこそ、仙台を離れてからは、自分はもう関わることはないと思っていた。
そんな中での仙台からのオファー。梁に迷いはなかった。2019年以来、3年ぶりの古巣への復帰に「自分が一番驚いている」と笑う。