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2年後の100回大会で箱根駅伝の「全国大会化」は実現する?…それでも「地方大学の予選会突破はかなり難しい」理由
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2022/01/15 17:03
2024年に第100回大会を迎える箱根駅伝。かねてより期待されてきた「全国大会化」は実現するのか?
そして年間の流れも異なる。わかりやすいのが例年、9月中旬に開催される日本インカレだろう。箱根駅伝予選会に参戦する大学は日本インカレよりも、夏合宿を優先させる傾向が強い。仮に出場したとしてもさほどレースに合わせることはしていない。一方、「打倒・関東」を掲げる地方大学は日本インカレに照準を定めて挑んでくる。
昨年は男子10000mで上田颯汰(関西学大3)が嶋津雄大(創価大4)とのラスト勝負を制して、日本人トップ(5位)に輝いた。「駅伝では主要区間で区間3位以内を目標にしています。できれば日本人トップを奪いたい」と上田は息巻いていたが、出雲駅伝は1区で区間13位、全日本大学駅伝も3区で区間13位に終わった。
関東と地方では明らかな実力差が存在する。地方大学は昨年の出雲駅伝で立命大が11位、全日本大学駅伝は関西学大の16位が最高だった。両駅伝とも関東勢には1校も勝つことができなかった。しかも全日本では15位の日体大と3分以上の大差があった。
また箱根駅伝予選会を勝ち抜くには、「集団走」などの戦略も必要になってくるが、その経験もない。なお前回、予選会を突破した10校のうち4校はケニア人留学生が参戦している。そのなかで地方大学が予選会を“突破”するのは相当難易度が高い。予選会に参戦したところで、20位前後が精一杯だろう。
さらにチームとして最大目標となる全日本大学駅伝(通常は11月上旬開催)の2~3週間前に、通過ライン突破の可能性が高くない箱根駅伝予選会に出場するのはリスクが大きい。地方大学の予選会参加を認めたとしても、全日本大学駅伝に出場できなかったチームが“記念受験”するような感覚で挑むことになるのではないだろうか。
それでも「全国化」は陸上界を変えるかもしれない
いずれにしても第100回箱根駅伝予選会まではあと1年9カ月しかない。門戸を開放するとしても、早くアナウンスしないと、箱根駅伝に参加したいと本気で考えている大学も準備する時間がなくなってしまう。
前出の関西学大・上田は箱根駅伝を目指したい気持ちもあったが、家庭の事情もあり、地元に残った。そういう選手は地方の大学にはまだまだいるだろう。もし地元近隣の有力選手を一気に集めることができれば、各地で強力チームができあがる可能性は十分にある。