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2年後の100回大会で箱根駅伝の「全国大会化」は実現する?…それでも「地方大学の予選会突破はかなり難しい」理由
posted2022/01/15 17:03
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
第98回箱根駅伝は青学大がトップをカッコよく駆け抜けて、2年ぶり6度目の総合優勝で幕を閉じた。学生ランナーたちは1月4日から“新たな1年”をスタートしている。
箱根駅伝は来年2023年に第99回大会が行われ、再来年2024年に記念すべき第100回大会を迎えることになる。現在の2年生が最上級生になるタイミングだ。
最多14度の優勝を誇る名門・中大はエース吉居大和(2年)を軸に28年ぶりの「優勝」を目指している。出場校が増枠される可能性も高いため、本格強化5年目となる立教大は86年以来の出場を果たして、箱根駅伝の常連校になるというストーリーを描く。多くの大学が「第100回大会」というメモリアルに向けて強化策を考えているようだ。
一方で、ファンや関係者からは度々“全国化待望論”が挙がっている。2017年11月に日刊スポーツが、「第100回の記念大会となる2024年1月の箱根駅伝で全国化を検討している」と報じているが、第100回大会で「全国化」は実現するのだろうか。
「関東大会」でも人気の高い箱根駅伝
箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟が主催している大会だ。いわゆる「関東大会」にすぎないため、他学連に所属している大学は出場できない。しかし、人気面は「全国大会」である出雲駅伝や全日本大学駅伝を凌駕している。
だからこそ箱根駅伝への出場を目指して、全国から有望なランナーが関東圏に集まってくる。今大会(第98回)における登録選手の出身地を都道府県別で見てみると、福岡が17人、熊本は14人、静岡が13人、山形と愛知が11人、長野が10人もいた(※データは『箱根駅伝公式ガイドブック2022』を参照)。
また箱根駅伝を目指す大学のなかには授業料免除だけでなく、奨学金を用意しているチームも少なくない。そのため高校を卒業して、実業団に進む有力選手は20~30年前と比べて激減している。長距離ランナーは“関東(の大学)”を目指す風潮が年々高まっているのだ。
ただ、過去には関東以外の大学の選手が箱根駅伝を走ったこともある。
過去に“関東”以外の大学が走った箱根駅伝もあった
過去には関東以外の大学の選手が箱根駅伝を走ったこともある。