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2年後の100回大会で箱根駅伝の「全国大会化」は実現する?…それでも「地方大学の予選会突破はかなり難しい」理由 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/01/15 17:03

2年後の100回大会で箱根駅伝の「全国大会化」は実現する?…それでも「地方大学の予選会突破はかなり難しい」理由<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2024年に第100回大会を迎える箱根駅伝。かねてより期待されてきた「全国大会化」は実現するのか?

 古くは1930年前後(昭和初期)に関西大が3度出場(第9、12、13回大会)。その後、第40回(1964年)の記念大会では通常の15校(当時)に加えて、「招待」というかたちで関西から立命大(11位)、九州から福岡大(13位)が参戦している。

 記念大会でいうと、第50回(1974年)は過去の優勝校を招待して20校で実施。第60回(1984年)も過去の優勝校を含む20校が参加した。第70回(1994年)は予選会を勝ち上がった11校(当時のシード権は9位以内)を含む20校で行われた。

 第79回大会(2003年)から出場枠が20チーム(19校+オープン参加の関東学連選抜)となり、第80回(2004年)は記念大会で3枠増枠。そのうちの1チームは関東学連選抜でなく、「日本学連選抜」として参加した。京産大(3人)、拓大、徳山大、筑波大、立命大、岡山大、國學院大、北海道教育大旭川院の選手たちがタスキをつなぎ、6位相当の記録を残している。関東学連所属以外の選手が箱根路を走ったのはこれが最後だ。第90回(2014年)の記念大会は3枠増の23校が出場したが、選抜チームの参戦はなかった。

 現在、通常開催の場合は前回大会でシード権を獲得した10校と、10月後半の予選会を突破した10校の合計20校。プラスして予選会を通過できなかった大学の選手で構成される関東学生連合(オープン参加)の21チームが出場する。

 では、第100回の記念大会はどうなるのか。これまでの流れを考えると、出場は3枠増の23チームが有力か。日刊スポーツの記事では、10月の予選会で「一定のタイムの基準」を満たせば、関東地区以外の大学も出場できる案が出ているという。では、地方大学が単体で箱根駅伝に参加できる可能性がどれほどあるのかシミュレーションしてみたい。

地方大学の「予選通過ライン突破」がかなり難しい理由

 まずは「一定のタイムの基準」について。これは予選通過ラインに設定しないと、関東の大学は納得できないだろう。仮に予選会で「13位以内相当」のタイムを求められたとしたら、この時点でかなり難しい。地方大学には予選会を勝ち抜くだけの「戦力」と「経験」がなく、「優先順位」も異なるからだ。

 戦力という意味では、チーム構成が関東の大学とは微妙に違う。関東の大学は10区間全てが20km以上の箱根駅伝を見据えてチーム作りをしているが、地方大学は6区間45.1kmの出雲駅伝、8区間106.8kmの全日本大学駅伝をターゲットにしているからだ。関東の大学ほど選手層は厚くなく、ハーフマラソンの練習をする機会も少ない。

【次ページ】 関東と地方では明らかな実力差が存在する

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