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《驚異の切り返し》幼馴染の“ピピ”中井卓大も「ナイスゴール!」 静岡学園MF古川陽介が選手権で与えた衝撃と、叶わなかった「打倒・青森山田」
posted2022/01/12 17:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO SPORT
1月10日、第100回全国高校サッカー選手権大会が幕を閉じた。
3度目の優勝を飾った青森山田が「5試合21得点2失点」という圧倒的な強さを見せつけた大会となったが、「トルメンタ」で旋風を巻き起こした高川学園など、高校生たちは記念大会にふさわしい戦いを見せてくれた。
チームとしての評価の一方で、選手個人を見たときに、もっとも“衝撃”を与えたと言えるのは、静岡学園で10番を背負ったMF古川陽介(3年)だったのではないだろうか。
巧みなボールタッチで観客を沸かせ、見事なドリブルから生まれたゴールは海外メディアからも賞賛を浴びた。今大会では2ゴールをマークし、大会優秀選手にも選出。J1復帰のジュビロ磐田への加入も内定し、今後の一層の活躍が期待されている。
しかし、目標の日本一には届かなかった。準々決勝の関東第一戦では何度もチャンスを演出するもゴールを決め切れず、国立のピッチさえ踏むことができなかった。2人目のキッカーを務めたPK戦では相手GKに防がれている。
「僕の決定力不足、仕留める力が足りなかった。もう少しと言えばもう少しなんですが、その“少し”が大きな差なんだなと思い知らされました。関東第一は相手に合わせてスタイルを変えられるチーム。一人ひとりがきちんとハードワークしたからこそ、最後にフィニッシュまで持っていく力があって、そこで僕らが凌駕できなかった。あと一歩というところの厳しさが足りなかった」
古川にとって“選手権”はどんな舞台だったのだろうか。
宮崎日大戦のスーパーゴールを自ら解説
初戦・徳島商戦で見せたゴールにも驚かされたが、何より衝撃を与えたのが、3回戦の宮崎日大戦でのゴールだった。
32分、左サイドタッチライン沿いでボールを受けた古川は、右足のアウトフロントで対峙したDFを剥がし、今度は足の内側のインフロントにひっかけて加速を始めた。
「僕はスペースを縫っていくドリブルが好きで、その間にスピードアップしていくのが得意なんです。あのシーンでも1人目の相手を一瞬のスピードとタイミングで外して、スペースに入って加速していきました」