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《驚異の切り返し》幼馴染の“ピピ”中井卓大も「ナイスゴール!」 静岡学園MF古川陽介が選手権で与えた衝撃と、叶わなかった「打倒・青森山田」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO SPORT
posted2022/01/12 17:03
選手権で大きなインパクトを残した静岡学園のMF古川陽介(3年)。J1ジュビロ磐田に内定しており、プロの舞台でも活躍が期待される
「インスタのフォロワーが2万人を超えました(笑)」
インターハイでのアシストも、選手権でのゴールと同様に、海外メディアに取り上げられてもおかしくないプレーだった。古川は選手権という舞台の偉大さをこう語る。
「やっぱり選手権はこれまでの大会と全く別物で、注目度が全然違います。ひとつのプレーの反響がめちゃくちゃ大きくて、インスタのフォロワーが2万人を超えましたから(笑)」
それをより強く感じさせたのは、旧友からのメッセージだった。
「普段はそこまで頻繁に連絡を取らないのですが、徳島商戦の後にピピ(中井卓大)から『ナイスゴール!』ってメッセージが来たんです。その時は『ペナ外からも決められるように頑張るわ』と返したのですが、内心はめちゃくちゃ驚いたし、『あ、見てくれているんや』とかなり嬉しかったです。同時に、やっぱり選手権って凄いんだと(笑)」
中井とは小学校1年生時からアズーFC(滋賀県)でチームメイトだった。
「みんなうまかったけど、ピピは頭ひとつ抜けていて、いつも隣にいた存在だったので、負けたくない一心で練習をしましたし、ずっと追いかけていた存在でした」
5年生の初めに中井はレアル・マドリーのカンテラ(育成組織)へと旅立ってしまった。
中井からは宮崎日大戦の後にも、準々決勝の後にも連絡が来た。幼馴染ならではの他愛もないやりとりをしたという。
青森山田と大津は「約束」を守ったが…
選手権の影響力の大きさを感じていく一方で、日に日に、準々決勝で敗退したことへの悔しさがよみがえってくる。
「やっぱり準決勝で大津、決勝で青森山田と戦って優勝したかった。あの2チームはきちんと『約束』を守ったんです。でも、僕らは守れなかった」
組み合わせが決まってから、古川をはじめ静岡学園の面々は準決勝の大津戦、決勝の青森山田戦を想定していた。
大津はインターハイで敗れた静岡学園へのリベンジに燃えていた。怪我人を出しながらも東福岡、前橋育英といった強豪校を退けて、準決勝まで勝ち上がってきた。