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箱根駅伝のキーワードは“伝統校VS新興勢力”…「思い切った布陣で往路優勝を取りに」伝統校の勢力図を変える大学はどこか? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2021/12/26 11:04

箱根駅伝のキーワードは“伝統校VS新興勢力”…「思い切った布陣で往路優勝を取りに」伝統校の勢力図を変える大学はどこか?<Number Web> photograph by AFLO

今季の箱根駅伝のキーワードは「伝統校vs新興勢力」だ

 前回経験者は6名、大エース的な存在はいないが、軸は鈴木聖人(4年)で、山本佑樹監督も「鈴木のチーム」と公言している。5区は、その鈴木がここ2年担ってきており、計算が立つ。2区は加藤大誠(3年)が2年連続して走っているが、現状を見極めるために全日本8区に置いたが15位に沈んだ。この結果を受けて、どう判断するか。一方、全日本でエース区間の7区を駆けた橋本大輝(4年)、4区3位と好走し、10000m28分20秒67を持つ小澤大輝(3年)の「ダブル大輝」は、チームの底上げに貢献した。

 上位進出のキーは、前回大会のような序盤のミスをなくすことだ。昨年は1区16位、2区17位、3区12位とブレーキを連発し、優勝争いに一度も絡めなかった。選手の能力は高いので、あとは個々でピーキングができるかどうか。今回の箱根では、その高いポンテシャルを結果で証明してくれるはずだ。

帝大)4連続シード権獲得、今季こそ「往路優勝、総合3位」

 帝京大は、前回の箱根駅伝は8位、4年連続でシード権を獲得している。前回は、かなりデコボコした駅伝だったが、3区の遠藤大地(4年)と5区の細谷翔馬(4年)が強く、今回もこの2区間を保持しているのが強みだ。

 区間配置は、この2区間がハマっているので、1区、2区のセット区間に適材適所の配置ができれば「往路優勝、総合3位」という目標にも近づく。出雲、全日本では箱根に向けてのテストが行われ、1区はともに小野隆一郎(2年)が出走している。2区候補は、エース区間である出雲3区、6区、全日本7区を見れば主将の橋本尚斗(4年)か、中村風馬(4年)、小林大晟(1年)が出てきそうだ。往路を取る、あるいはいい順位を確保できた後、復路でどこまで我慢できるか。帝京大の耐久力が試されることになる。

東海大)エース不在の危機…シード権を獲得できるか

 東海大は、3本柱が卒業した今季、有能な1年生に故障者が多く、中間層も伸び悩んだ。その中で大エースの石原翔太郎(2年)と主力の市村朋樹(4年)がチームを引っ張った。

 ただ、市村はトラックで結果を出したが出雲、全日本とロードで本来の力を発揮できていない。11月末の丹沢湖マラソンで優勝し、嫌なムードを取り払ったが箱根で強さを見せられるか。また、大エースの石原は恥骨結合炎で駅伝はすべて回避、喜早駿介(2年)、佐伯陽生(2年)ら主力もエントリーから漏れた。エース不在に落胆する声が大きかったが、光明もあった。

 1年時、箱根7区3位と堂々の走りを見せた後、故障に苦しみ、両角再生工場で練習を続けてきた松崎咲人(3年)が全日本2区7位、11月下旬の10000mでは28分39秒46の自己ベストを更新した。さらに丹沢湖のレースでは越陽汰(1年)が2位に入り、5区の秘密兵器として吉田響(1年)が台頭してきた。ノーミスで行けばシード権は確保できるメンバーだが、夏から距離を踏んできた成果が出るかどうか。新たな取り組みの成否が問われる箱根になる。

 成り上がろうとする新しい勢力、それを簡単にはさせまいと力を見せる伝統強豪校。果たして、箱根駅伝全体の勢力図に、新たな楔が打ち込まれるだろうか。

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箱根駅伝「強豪校こそ区間配置が難しい?」「往路優勝が総合優勝には必要」青学、駒澤…有力校の戦力を徹底分析する

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