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過去10年のドラフトで9人だけ…なぜ「二塁手」は指名が少ない? でも来年は違う…ドラフト有力候補の大学生「二塁手」6人の名前
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/07 17:02
来年ドラフト有力候補の大学生二塁手【1】明治大・村松開人(171cm76kg・右投左打・静岡高)
もちろん、守備力を優先するポジションなので、それにふさわしい敏捷で高精度なフィールディング能力の持ち主であることは当然の「共通項」だ。それに加えて、プロでも上位を期待できるバッティング能力を有する二塁手が何人もいるのが、これまでのドラフトになかった「特徴」だ。
5人の二塁手のすべてが、プロでも盗塁を期待できるスピードを持っているのも心強い。
齊藤大輝(法政大)以外の4人の二塁手は、いずれも170cm前後の選手たち。しかし、小さいと思って甘く見ると、痛い目に遭ってしまう「怖い選手」たちばかりだ。
(1)明治大・村松開人(171cm76kg・右投左打・静岡高)
静岡高当時は遊撃手として甲子園大会でも活躍し、志望届が出たら獲ります!と手を上げていた球団がいくつもあったのが村松開人(明治大)。
この秋のリーグ戦では「3番セカンド」、クリーンアップの一角を担った。
打率.361はリーグ6位。放った13安打のうち、6本が本塁打を含む長打。警戒されながら、誘い球を見極めて8四球をもぎ取りながらの13安打は、相手バッテリーにとっては、気の重くなる打者にグレードアップしてきた。
それ以上に光ったのは、ベースランニングのスピードだ。
打線の頭2人、1番・丸山和郁(4年・外野手、ヤクルト2位指名)、2番・陶山勇軌(4年・外野手)がリーグトップクラスの快足ランナー。目の前で、2人の走りっぷりを見ているうちに、スタートの感覚がすごく鋭くなったように見える。盗塁できる足があるのは、間違いなく大きなポイントになる。
(2)法政大・齊藤大輝(178cm74kg・右投右打・横浜高)
同じ東京六大学で、今秋リーグ戦で打率2位(.438)につけている齊藤大輝(法政大)は、今秋だけ打っているわけじゃなく、この秋までの通算でも3割以上をマーク。今秋リーグ戦ではベストナインに選ばれた。
横浜高当時も3年連続レギュラーで夏の甲子園に出場しており、試合に出て活躍するのが当たり前みたいな、天才肌の二塁手だ。
こういう選手を「持っている」というのだろう。
内角のきびしいコースを速球で攻められてもあわてず見極め、根負けして投げてくる甘い変化球をサッとヒットにしてしまう「野球カン」。見ていて舌を巻く。
やられた次の打席では、必ずといってよいほどやり返す。おそらく、無類の負けず嫌い。そうでなければ、高校、大学のトップチームでレギュラーを全うし続けているわけがない。
一塁側ファールゾーンに上がったフライに対する一瞬の反応と、落下点にとっつくスピードには目を奪われるし、2つ、3つ先の展開を読んで、「どうしてそこに君がいるのよ……」と驚かされるカバーリングの感性。単に、捕ってアウトにするだけじゃない……齊藤大輝の「守備全体」から目を離せない。