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大阪桐蔭→早大バッテリーが《DeNAドラフト2位と指名漏れ》の明暗… 楽天ドラ6右腕とともに「最後の早慶戦」で有終の美を
posted2021/10/29 11:05
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph by
Waseda Sports
2018年春、早慶3回戦。
延長11回 1対0。
清々しいゲームだった。
早稲田大4年生・小太刀緒飛のソロホームランが11回表に飛び出して、その1点を1年生の徳山壮磨(8回まで)と西垣雅矢のリレーで守って早大の完封勝ち。慶応大の完全優勝を阻止したゲームだった。
この試合をネット裏から観ていた。2人の1年生の外連味のないストレートが心地良かった記憶がある。
その2人が3年半を経て、先日のドラフト会議で徳山がDeNAの2位、西垣が楽天の6位で指名された。
大阪桐蔭のエースだった徳山は2017年センバツで優勝。報徳学園の西垣も同じセンバツでベスト4まで進出した。その実績もあって、早大にスポーツ推薦で入学した。
目標はプロ。1年春にデビューし、波はあったが結果を残してきた。最上級生になってドラフト候補に名前が挙がるようになった。ただ、本当に指名されるかどうかは当落線上だったと言っていい。春のリーグ戦では2人とも、不安ばかりの投球内容だったからだ。
エース番号を背負いながらも苦悩していた徳山
徳山は今年の春、早大のエース番号「11」を背負いながら、苦悩のシーズンを送っていた。
1年秋は肩の故障で登板がなかったり、離脱するシーズンはこれまでも、あった。だが、マウンドに上がったのに、思い通りのボールが投げられずに苦しむシーズンになった。
3週目の立教大戦では、1回表から3ランを含む6安打や2死球など押し出しもあって5失点と試合を壊した。法政大戦は完封したが、明治大には3点を守れずに5回降板で負け投手になった。さらに、早慶戦は先発の座を譲っていた。150キロを計測していたストレートが140キロしか出ない。
本人が苦しかった春を振り返る。
「春の立教は修正しきれなかった。打ち込まれることの経験が少なかったので、ほんと、メンタルにきましたね。マウンドが硬くなって、なんとかしなくちゃと思って試行錯誤をする中で、崩れちゃったのかなと。心技体とも上手くいかなくて。納得できる球が投げられるまで、いろいろ試したりして、どんどん泥沼にはまった感じです。良くなろうと思うほど、周りが見えなくなって、もっと練習をしちゃうタイプなので、取り組んだ結果が悪い方向に行ってしまって結びつかなかった」
暗中模索、右往左往の日々だった。しかし、アイデンティティは失わなかった。